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青ノ果テ —花巻農芸高校地学部の夏— 伊与原新 新潮文庫

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伊与原新を読むのなら直木賞作品に手を付けるべきなのだろうけど、前回読んだ『宙わたる教室』が気に入ったので、続けて高校が舞台の作品を読んでみることにした。

『青ノ果テ —花巻農芸高校地学部の夏—』の題名にもなっている花巻農芸高校は宮沢賢治が教鞭を取った花巻農業高校をモデルにしているそうで実在の高校ではないとのこと。

一言で説明すると「とりあえず宮沢賢治と銀河鉄道の夜が好きな人は読んでおいて損のない作品」って感じだった。

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青ノ果テ —花巻農芸高校地学部の夏—

ザックリとこんな内容
  • 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』がテーマの作品で物語の舞台は岩手県花巻市。
  • 主人公の佐倉壮多は花巻農芸高校に通う高校生。怪我で「鹿踊り部」のメンバーを外されてしまう。
  • 壮多は幼馴染の七夏や、謎めいた転校生の深澤北斗達が所属する地学部に掛け持ち入部することになる。
  • そんな七夏が突然失踪する。地学部のメンバーと宮沢賢治ゆかりの地を巡る自転車旅に出る中で壮多は七夏の失踪の秘密を知るのだが……

感想

宮沢賢治と人生のお悩みってのは、どうしてこうも相性が良いんだろうなぁ。

『青ノ果テ —花巻農芸高校地学部の夏—』は『宙わたる教室』のような高校生がテーマの青春小説かと思っていたけど、高校…と言うより宮沢賢治とイーハトーヴォがテーマだった。「イーハトーヴォはどこか?」とか「カンパネルラの死なない世界」とか宮沢賢治とか『銀河鉄道の夜』が好きな人なら食いつかずにはいられないテーマだと思う。

ミステリー的な要素が含まれる作品なのでネタバレ抜きだと、どこまで感想を書いて良いものか難しいところではある。

とりあえず登場人物は全員「良い子」達ばかりだった。それぞれ複雑な気持ちを抱えているけれど、全員真面目で心優しい。ちょっと綺麗事過ぎる気はしたけれど、この美しい物語はそれで良いと思う。むしろそこが良い。

宮沢賢治、地学、青春、ミステリーと「これでもか!」と言うほどに色々な要素をてんこ盛りにしているのに破綻していないのところが凄いと思った。てんこ盛り系の作品って、どれもこれも中途半端でとっ散らかってしまうことが多いのに、綺麗にまとめられている。

ザーッと勢いだけでイッキ読みしてしまったので、改めてゆっくり味わいたいと思う。宮沢賢治が好きな人は是非手にとって戴きたい。

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