久坂部羊は医療小説を書く人…と言うイメージだったけれど最近はエッセイ系の作品が多い。今回の『人はどう悩むのか』は『人はどう死ぬのか』や『寿命が尽きる2年前』と同じ系列の作品。
ザックリ説明するなら「どうすればいい感じに老いて楽に暮らして死ねるのか」みたいなテーマだった。
人はどう悩むのか
- 日本は「人生100年」と言われる長寿国になったが、うつ状態に陥る高齢者が増えている。
- 「幸せな老後」を実現するのに、何より大切なことは、精神的に満たされることだが、どうすれば心を健康に保つことができるのか?
- 久坂部羊が各ライフステージに潜む悩みを年代ごとに解説する
感想
「久坂部羊は最近、小説出すペースが落ちたなぁ」と思っていたけど2023年まで福祉系の大学で「精神保健学」を教えていたらしい。そもそもご高齢なのでガッツリ長編小説を書くのは大変なのだと思う。
さて。それはそれとして感想なのだけど「久坂部羊の小説は面白いけど、考え方は旧式の男性だな」の一言に尽きる。
「老いに逆らわず、老いを受け入れていこう」的な考え方は理解できるし、まったくもってその通りなのだけど、現代の社会状況や家族のあり方などの考え方については、あまりにも古過ぎてついていけなかった。頭の硬いジジイの戯言を聞いてる感じ。
夫婦関係の部分については特に酷くて「結婚とは結婚する時が幸せのピークであとは下がっていくしかない」みたいな主張には「はぁ?」みたいな感想しか出なかった。確かにそういう夫婦もいるだろうけど、すべての夫婦がそうじゃない。少なくとも私は違うぞ…と。こんなところで惚気て申し訳ないけれど、私は夫と結婚した新婚当初よりも気心知れた今の方がよほど夫を好きだと思えるし大切だと感じている。
もうね…家族関係の記述については「ひと昔前の人の妄想」くらいに現実味がない。久坂部羊の年齢を考えれば仕方がないことなのかも知れないけれど。
『人はどう悩むのか』の感想を一言で書くと「久坂部羊先生も年を取りましたね」ってことに尽きる。残念だけど人は年を取る。それは久坂部羊も同じことでどうしようもないのだ。「老いを受け入れる」というのは作品に掲げられたテーマでもあるので、そう言う意味では久坂部羊自身をさらけ出した作品と言えるのかも知れない。
小説とエッセイ、評論は別物。そしてエッセイや評論はある程度若い人が書いた物の方が面白いような気がするな…というところが今回の発見だった。