私。今までずっと「皇室の方の留学って、しょせんバカンス感覚なんでしょ?」と思っていた。だけど『赤と青のガウン オックスフォード留学記』を読んで、その認識は間違っていることを知った。「今まで何も知らないくせに失礼なことを思い込んでいてごめんなさい」って気持ちになった。
正直なところ「面白いエッセイ」とは言わないけれど、見識が広がったし今まで疑問に思っていたことの答えが書かれていたので読んで良かった。
赤と青のガウン オックスフォード留学記
- 女性皇族として初めて海外で博士号を取得された彬子女王による英国留学記。
- 英国のオックスフォード大学マートン・コレッジでの2001年9月から1年間、そして2004年9月から5年間の留学生活の日々。
- 本編に加えて「文庫版へのあとがき」を収録。
感想
皇族の人の生活って単純に興味があるけれど『赤と青のガウン オックスフォード留学記』を読んで納得したのは「始終SPの人がいる生活って窮屈じゃないですか?」ってことの解答だった。
『ローマの休日』ではアン王女はお付きを振り切って1人でローマの街に繰り出すけれど、彬子女王殿下は「小さい頃からお付きの人がいるのが当たり前だったから平気」とのこと。さらに言うなら「家族のような感覚さえある」らしく、私達が想像する「始終監視されていて辛い」みたいなノリではないみたい。
また留学中も彬子女王殿下は「ずっと人の多い環境で育ってきたから自分は人に囲まれていた方が落ち着くみたいだ」と言うことを発見されていて「皇室の人は窮屈な人生を送っているんだろうなぁ」と言うイメージとは全く違っていた。
ちなみに長期留学中の場合、お付きの人はいないとの事だった。
博士号を取るための勉強については「やっぱり大変なんだな」と素直に思った。そりゃあ大学側もいい加減な人に博士号を出したりしたら沽券に関わるものね。
めちゃくちゃ感心したのは「上流階級に属する人ってめちゃくちゃコミュ力高いし、そんな風に育てられてきたのだな」ってこと。
以前何かの文章で「国のトップに叩き上げの人がなるのは悪くないけど、国際社会の社交の場に出ても話についていけないから外交力は高くない」みたいな話を読んだことがある。その時は「そんな酷い言われようってあるの?」と思ったものだけど『赤と青のガウン オックスフォード留学記』を読んで「なるほどなぁ」と納得した。
コミュ力にしても教養にしても裕福に優雅に育てられた人特有の人の良さにしても、あんなの庶民には真似できない。「育ちが違う」ってのはこう言うことなのだと思い知らされた。
「好奇心を満たしてくれる本」としては大満足だけど、プロの作家の文章ではないのでエッセイ的には「まあまあやね」くらいのレベル。
彬子女王殿下は可愛らしくて好感の持てるお人柄だな~とは思ったものの、ある意味に普通に真面目な留学記なのでエピソードの1つ1つ自体は取り立てて面白い…って訳ではなかった。
上流階級の生活に興味がある人にはオススメしたい1冊。ちなみに私はお姫様とかお金持ち大好きな庶民なので「上流階級の人達の暮らしと思考を知る」と言う意味では良い1冊だと思った。