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転職の魔王様 額賀澪 PHP研究所

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前回読んだ『競歩王』が好みだったので、額賀澪を続けて読んでみた。

今回は題名通り、転職エージェント(転職斡旋会社)のCA(キャリアアドバイザー)が主人公の物語。

転職活動をしたことがない人はピンとこないかも知れないけれど、昨今の転職活動は転職エージェントを利用するのが一般的な流れ。CAと呼ばれる担当者のがついて、企業を紹介してくれたり相談に乗ってくれたりする。

『転職の魔王様』は俗に言う「お仕事小説」に分類されるかと思うのだけど、なんかこぅ…お仕事小説と呼ぶには、あまりにもラノベ感が強い作品だった。

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転職の魔王様

ザックリとこんな内容
  • 主人公の未谷千晴大学卒業後に入社した大手広告代理店でパワハラに遭い、3年経たずに退職する。
  • 働く自信と希望をすっかり無くしてしまった千晴は「普通の大人」に戻りたいと、叔母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をはじめた。
  • 千晴はそこで、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。
  • そして千晴は転職どころか、来栖嵐の指導の元、自らもキャリアアドバイザーとして働くことになるのだが……

感想

私は就職氷河期の一期生なので就職には大苦戦したし、転職も経験している。そして夫は働いていた会社が民事再生を申請して、43歳の時に転職エージェントを通じて転職している。

  • 転職エージェントはとは?
  • キャリアアドバイザーってどんな仕事なのか?

……と言った基本的なところを知らない人が読めば、そこそこ楽しめるかと思うのだけど、実際に転職エージェントを利用したことのある人間からすると「こんな調子で仕事が出来たら楽勝だな!」みたいな気持ちになってしまった。

決定的に面白くなかったのは、転職希望者は普通に企業が求めるような年齢と経歴の持ち主だ…ってこと。

『転職の魔王様』なんて大仰な題名を付けてしまったがゆえに「超凄腕のキャリアアドバイザーの物語なんだな」って感じがするけど、優良案件ばかり扱っているのだから「そりゃ決まるわ」としか思えなかった。

ただ「お仕事小説」として読むとイマイチだけど自分探し系の青春小説としてはアリかも知れない。

前回読んで気に入った『競歩王』は青春小説であり、成長小説だった。

もしかすると額賀澪は青春小説が得意な作家さんなのだろうか?

リアルな社会を描いた作品としては弱過ぎるとは思ったけれど「イマドキの若者の自分探し転職小説」としてはアリなのかなぁ。そしてイマドキの若者が読む転職小説…と言う観点で見れば充分アリなのかも知れない。少なくとも映像化とかドラマ化の元ネタにするならアリな感じではある。

残念ながら『転職の魔王様』はイマイチ楽しめなかったものの、額賀澪の将来性には期待したい。

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