結婚小説 中島たい子 集英社

ひと言で感想を述べるとするなら「微妙」としか言いようがない作品だった。恥ずかしながら、今年度の直木賞を受賞した中島京子の作品だと勘違いして手に取った。読み始めて作者が違うってことに気が付いたのだけど、実は途中まで作者が違うってことに全く気付かなかった。私が鈍いってことは否定しないけれど、最近の女性作家さんって、どことなく文章の雰囲気が似ていて、ものすごい個性を感じないからかも知れない。けっこう読み進めるまで別人だと気付かないなんて、自分でも吃驚した。

私の勘違い話はさておき。この作品の感想など。主人公はアラフォー女性。題名から想像出来る通り、結婚にまつわる物語。正直「上手いな」とは思った。私自身、結婚は早い方では無かったので「あぁ、分かるわぁ」と思う部分が多かったし、恋愛慣れしていない人間の描写は素晴らしく上手だと思った。「現代女性を的確に描いている」と言う点においては、惜しみない拍手を送りたいと思う。

しかし私はこの物語を根本的に好きにはなれなかった。途中まではそれなりに面白く読ませてもらったのだけど、あのオチは酷いと思った。素敵っぽくまとめてあったけれど私からすると「それって、大人としてどうなの?」と思ってしまうほどに納得できない結末だったのだ。主人公の考え方があまりにも自己中心的過ぎて、私にはついていけなかった。

ふわふわした考えで、ふわふわと生きる女性の話として「まぁ、こんなものか」と読み流すならそれはそれで面白いとは思う。ガッツリと読みたい人向けの作品ではないように思う。昨今の女性作家さんに「ガッツリ」した作品を書ける人って滅多にいないので、期待して読むのが間違いと言えなくもないのだけど……。

私は女性なので女性作家さんには頑張って欲しいと思っている。性差は関係なく書ける作品もあるけれど、女性には女性の視点、男性には男性の視点があり、女性にしか書けない作品は確実に存在する。女性作家さんの書いた骨太な作品が読みたいと思っているのに、どうも女性作家さんの作品は「スイーツ」と呼ばれるような物が多いのが現状だ。女性作家さん達には男性作家さん達ほど個性が無いのは何故なんだろうなぁ。勿論、個性的な女性作家さんが皆無だとは言わないけれど。

アッっと言う間に読めて、アッっと言う間に忘れてしまいそうな作品だと思った。

結婚小説 中島たい子 集英社