商店街の果物屋で桃を買った。小ぶりの桃で2個250円。
いくら小ぶりの桃だと言っても控えめに言って安過ぎる。果物屋さんが言うには「もう食べ頃だし、これ以上置いておけないからサービス品だよ」とのこと。買わずにはいられなかった。
私はこの世の中で日本のさくらんぼが最高に美味しい果物だと思っているのだけれど、桃は2番目に好きな果物だ。初夏から夏にかけて旬を迎える果物は水分がたっぷり含まれていて、食べると元気になれる気がする。
果物屋で買った桃は翌日の朝食のデザートとして出したのだけど、食べ頃でなかなか美味しかった。高級桃と較べると「まぁ、こんなもん」ではあったけれど、お値段を考えると充分過ぎる美味しさだった。
桃は林檎やバナナからすると高級果物の部類に入るので、気軽に買う事は出来ないのだけど、それでも季節に何度かは食べたいと思ってしまう。
私の勝手な思い込みかも知れないけれど、小説家には桃が好きな人が多いような気がする。
このサイトに感想を書いている本だけでも桃が題名に入っている本が3冊ある。
題名にはなっていないけれど、中山可穂も作品の中で桃について、ねっとりとした描写をしている。
桃は味の美味しさもさることながら、お尻のような見た目とか、生き物のように柔らかい産毛が生えている皮とか、「丁寧に扱わないと駄目になってしまう」と言う危うさが小説家の心をくすぐるのだろうか。
桃…大好きだけど、食べられる期間が短いのが切ない。果物には旬があるので「そういうものでしょ?」と言ってしまえばそれまでだけど、林檎や蜜柑に較べると、桃の旬は一瞬で通り過ぎてしまう気がする。
桃への愛を盛大に語ってみた訳だけど、しばらくしたら西瓜だのシャインマスカットだのに心奪われる事は分かっている。桃は私のナンバーワン果物ではないのだもの。さくらんぼだったら1年中大歓迎なのだけどね。
桃の季節が終わるまでに、あと1、2回、桃を食べたい。