この冬は寒過ぎてビールが飲めなかった。
例年なら「こたつで飲むビールは最高だね!」とか言いつつ、ビールをグビっていたのだけれど、今年は寒波が厳しかったっし、加齢からの身体能力の低下により「冷たい飲み物を大量に摂取したら死ぬ」と言う保護システムのような物が働いたのだと思う。
夏の間はあれほど愛しているビールを飲みたいいとはこれっぽっちも思わずに日本酒ばかりを飲んでいた。
一時はムキになって安酒ばかり飲んでいたけれど、最近は安酒なりにもマシな物を飲むようになった。
その合間に夫がそこそこ美味しい日本酒を提供してくれたりして、どうにかこうにか過ごしていたのだけれど、日本酒はビールと違って美味しいのとそうでないのとの差が激しいって事に気がついた。
ビールだって「プレミアムビール」と「普通のビール」と「発泡酒」と「第3のビール」と「ものすごく安いプライベートブランドの第3のビール」の間には越えられない壁があり、似ているけれど全然違う。
それでもお金持ちではない消費者は「第3のビールでもまあまあ飲めるかな」くらいのノリで第3のビールを飲んでいて、私も愛飲している訳だけど、日本酒の場合はビール以上に雲泥の差が激しい気がする。
そこそこ美味しいお酒を飲んだ後に飲む紙パックのお酒の水っぽさたるや!
紙パックのお酒にもアルコール成分が入っていることは理解している。だけど、酒屋さんがちゃんと作ったであろうお酒を飲んだ後に紙パックのお酒を飲むと「ちぇっ。これ、水みてぇだなぁ」っと気持ちになってしまうのだ。
率直に言うなら美味しくない。残念ながらこればかりは、如何ともし難い事実だ。
世間の人が『獺祭』に飛びつく理由が分かる気がする。
日本には『獺祭』以外にも美味しいお酒はあると思う。だけど普段、安酒を飲んでいる人間は「話題になったから興味本位で飲んでみました」ってノリで飲んだお酒が美味しかったりすると「いつも飲んでるのより美味しいお酒」ってだけで満足出来るし美味しく感じてしまうのだ。
日本酒マニアで色々な日本酒を試している人なら「いやいや、もっと美味しいお酒あんじゃね?」と思うのかも知れないけれど、マニアの粋にまで達していない人達は「いつものアレ」より美味しいものに触れたりしたら「ナニコレ? スッゴク美味しいんですけど?」となってしまうのは必然である。
昨今は「地産地消」が推進されているけれど、あれは理にかなっていると思う。
新鮮ってだけで食べ物の美味しさは随分違ってくる。ただ。地産地消を実行するにはそこそこの資金力が必要になってくるのが弱点。
地元産の食べ物や飲み物よりも大企業の作った物や海外製品の方が安くて手が出やすかったのするのだもの。『まんが日本昔ばなし』の世界を賛美するつもりはないけれど、地元で作った出来たて&採れてたの食べ物はそれだけで美味しいのだ。
地元で作られた食べ物や飲み物に手が出ない世の中って歪んでいるな…とは思う。
私の場合、グダグダ言いながらも暑くなってきたら第3のビールを飲むようになり日本酒のことなんてしばらく忘れてしまうだろう。
野菜だってなんだって「安いけど、まあ、そこそこ食べられるから、いいや」的に買ってしまう。人間は低きに流れる生き物なので、致し方ない。
ただ地元で出来た食べ物や飲み物に手が出ない世の中ってのは、どうなんだろうな…とは思う。
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