介護ヘルパーをしている友人から「年とったら立って歩いてる者が勝ちだよ。立って歩けるかどうかで天地ほど差があるからね」と言う話を聞かされた事がある。
高齢者になった時は「立って歩ける人」と「立って歩けない人」との間には越えられない壁があるらしい。
先日、実母が立って歩くどころか起き上がる事さえままならない状態になってしまった。
「起き上がれない」なんて書くと何か大変な病気かと思ってしまうのだけど、そうなってしまったのは病気が原因ではない。実母は数ヶ月以上、努力すれば歩けるのに歩こうとしなかったため、筋力が落ちて動けなくなってしまったのだ。
有名なエピソードで説明すると『アルプスの少女ハイジ』のクララをイメージして戴ければ分かりやすいかと思う。
実母は現在70歳。寝たきりになるにはまだ早過ぎる年ではある。しかし夏頃から「暑いから」「ちょっと体調が悪い」「お腹が痛い」「気分が乗らない」と様々な理由を総動員して「歩く」ことをせず自宅に引き篭もっていた。
例えば「車で送迎するから買い物に行こうよ。スーパーに行くだけでも気が晴れるよ」と誘っても「たまには外食しようか?」と誘っても外に出ず、出掛けると言えば病院だけ。しかもドアツードアの車送迎で場合によっては「しんどい」「今日は足の調子が悪いから歩けない」と車椅子を使う生活が続いていた。
で。ある日突然、起き上がる事が出来なくなったのだ。
筋力が低下しているところに、ここのところの寒さで筋肉が堅くなってしまったのが原因だった。
実母は「どうしてこんな事になってしまったのか…」と悲劇のヒロイン的に嘆くのだけど「いやいや。それ、前から注意してましたやん」と情けないやら呆れるやら。
それはそれとして。人間は歩かなくなると本当に歩けなくなるものなんだな…と感心した。
「毎日身体を動かしましょう」「散歩でもいいから歩きましょう」言うことは誰でも知っているとは思うけど、それを切実に感じている人は少ないのではないだろうか? 私自身まさか自分がこの目でその症例を見るとは思ってもみなかった。
インドア派の私が言ってもイマイチ説得力が無いかも知れないけれど、中高年と呼ばれる年代に突入したら楽にばかり流されていては駄目だ。
外に出て働いたり、家事をしたりしている間は大丈夫かとは思うのだけど、三年寝太郎のようにゴロゴロしていたら本当に歩けなくなってしまうものらしい。
実母の状態はとりあえず一時的な物として、少しずつ起き上がれるようにはなってきたものの、このまま緩やかに寝たきりになってしまうのか「これはヤバイ」と努力するのかは実母次第なので私にはどうする事も出来ない。
この日記を読んでくださっているインドア派のみなさま。どうかしっかり身体を動かしたり歩いたりしてください。
ガツガツ頑張らなくてもいいんです。家事でも買い物でも散歩でもかまいません。「じっとしているのが当たり前」になってしまうと実母のように動けなくなってしまうかも知れません。
身内の恥を晒すようで気が引けましたが「みなさ~ん。しっかり歩いてくださ~い」と言う事をお伝えしたくて記しておくことにしました。ではでは。