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35歳年上の友達。

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先日、15年以上ぶりに昔の同僚から電話がかかってきた。生憎、私は外出していた為、留守電に「折り返しお電話お願いします」のメッセージが入っていた。

彼女は私が初めて社会人になり一般事務をしていた時に知り合った女性だ。私とは部署が違っていて、経理をしていた。

当時私はまだ20代。彼女の年齢は知らなくて私からすると「すっごい年上のベテラン社員」って感じだった。彼女とは年も違うし接点が無さそうなのだけど、趣味が同じ(絵画鑑賞とクラッシック鑑賞)だったので、絵画展の招待券を戴いたり、私もクラッシックの安いチケット(当時、大阪シンフォニーホールの3階の最後列のチケットだけは1000円で買えた。

窓口に並んで争奪戦だったけど)を手に入れた時は「姉さん…久しぶりに、いいのが手に入りましたぜ…」と、コンサートにお誘いして一緒にに聞きに行ったりしていた。

ほどなく私は転職し、転職後は数回お会いしただけで、以降は「年賀状だけの付き合い」になっていた。

日頃付き合いのない人から突然電話に一瞬「こりゃ、マルチか宗教だな…」と警戒してしまった。

しかし彼女は庶民とは桁違いのお金持ち。既婚者だったけれどお子さんがいなかったので暇だからと言う理由で、結婚後に経理の資格を取って就職したらしいく、別荘に出掛けたり、乗馬クラブに通ったり、海外旅行に行ったりと趣味多き人。

「でも…あの人がマルチとか宗教にハマるかな?」と思いつつ、とりあえず放置する訳にもいかず、折り返しの電話をしてみた。

ちょっとドキドキしながら電話をかけてみたのだけれど、昔と変わらない様子の喋りっぷりでホッとした。

そして電話をかけてきたのも「実は10年以上介護していた叔母が亡くなって、やっと自由の身になったから会いたくなったのよ!」との事だった。

ご主人が亡くなっていたのは年賀状のやり取りで知っていたけれど、その後叔母さんの介護をしていたらしい。

そして、いざ介護が落ち着いて「私も自分の人生を楽しまなきゃ…」と思ったら、周囲の友達はみんなお婆さんになっていて、自由に動ける人がほとんどいないとのこと。

私なら自分より若いから大丈夫だろう…と言うことで、白羽の矢が立ったようだ。

「もうね。みんな身体が悪くて自由がきかないのよ。だって私も79歳だし」と聞いて初めて彼女が私より35歳も年上だった事を知った。

結局、その時は「まだ叔母の後始末が済んでいないから落ち着いたら改めて連絡するわね」と言う事になった。

私も娘がまだ小学生なので以前のように自由がきかないし、長時間会うのは無理だけど「お茶くらいならご一緒出来るので伺います」と約束を交わした。

夫にその話をすると「それにしても白蓮さんは守備範囲広いよね。だけど、その人そんなにお金持ちなのに、なんで1000円のチケットで一緒にコンサートに行ってたんだろ?」と言う疑問を口にした。

確かに私も当時はちょっと疑問だったのだけど、今の私には彼女の気持ちがよく分かる。

35歳も年下の趣味が同じの女友達の私は彼女にとって面白い存在だったのだ。

ちょっと生意気だけど、欲得抜きで自分を慕ってくれる年下の女友達。もし今の私に35歳年下…とまではいかなくても、趣味が同じの20代の友達が出来たら新鮮で楽しいだろうし、可愛がってしまうと思う。

まぁ、経緯はさておき私の事を思い出してくれたって事が嬉しかった。

実のところ私の方も「15年以上ぶり」って感じはしていない。年齢は離れているけれど、友達ってそんなものなのかも。彼女の身辺が落ち着いたら、是非会いたいな…と思う。

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