絲山秋子って、最近、本屋でやけに平積みされてる作家さんだなぁ……と思っていたら芥川賞受賞とのこと。
名前だけ知っているのに未だ未読だったので、図書館で借りて読んでみたら、結構良かった。
この作品は文学界新人賞受賞とのことなので、まだフレッシュな時期に書かれたと思うのだけど、いかにもフレッシュです……って感じで良いと思った。
イッツ・オンリー・トーク
引越しの朝、男に振られた。東京・蒲田―下町でも山の手でもない、なぜか肌にしっくりなじむ町。
元ヒモが居候、語り合うは鬱病のヤクザに痴漢のkさん。いろいろあるけど、逃げない、媚びない、イジケない、それが「私」、蒲田流。
おかしくて、じんわり心に沁みる傑作短篇集。
アマゾンより引用
感想
作中に流れる「だらだら感」が素晴らしい。
ヒロインはまるでフーテンの寅さんみたい。寅さんみたいに旅をする訳じゃないんだけど、どことなく「フーテン」って言葉が似合うのだ自分の生きたいように生きている人……って印象。
会話が多目で文章が平坦なのでサクサクと読めた。主人公以外の登場人物も、面白くて「キャラ小説」なノリ。最近は物語よりも「人物」で読ませる小説が多いように思う。
1冊しか読んでいないので、まだなんとも言い難いのだけど、他にも読んでみようかな…と思わせるものはあった。
ただ、この作品については「読んでる時は面白かったけど、いまいち何も残らなかった」という感じ。
読み流すには良いけれど、心にグサッっとくるものが無いと言うか。
こうやって読書録を書きながらでさえ「どんな話だったっけか?」とボロボロと記憶が欠落しているのを感じるほどだ。
芥川賞作家ってことで、本屋でも図書館でも手に入りやすそうなので、ぼちぼち読んでいきたいなぁ……と思った。
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