大学生になった娘の生活が少しずつ軌道に乗ってきた。
娘は大学受験に際して明確な目的を持っていたので、関西大学しか受験しなかった。「滑り止め無しで落ちたらどうするの?」って話だけど「関西大学の体操部に入る」ってことしか頭になくて他の大学は考えてもいなかった。そこまで熱望した大学に入学できたのだから、大学生活はパラダイスでしょ……と思っていたけど、蓋を開けてみればそうでもなかった。
- 大学に行って友達出来るかな……
- 関大って内部生はすでに人間関係固まってそうだし……
娘は小さい頃から「友達と一緒である」と言うことを重きに考える。言うなれば群れで生きることを選ぶ羊のような人間なのだ。「好きなことができれば1人でも問題ないが?」と考える両親とは違うタイプ。日々、娘をなだめすかして大学に送り出していた。
そしてワクワクの体操部の新歓イベントの日。「ようやくこれで大丈夫。どうせあの子は体操してればご機嫌なのだから大学生活も楽しくなるだろう」と思っていたのに、娘は浮かない顔で帰宅した。
「私…体操部から歓迎されていないみたい」とシクシク泣き出す始末。
話を聞くと例年はスポーツ推薦で入ってくる女子部員は2名~3名らしいのだけど、今年は8人も推薦組がいたとのこと。そして一般で新歓に来たのは娘1人。推薦組に気圧されたのか「私……体操部無理かも知れない」と弱気発言。
これには正直、途方に暮れた。「関大体操部には入りたい」ってだけで受験した大学なのに、体操部に入らないなんて本末転倒。だけど泣いてまで入るのもおかしな話なので「無理なら辞めてもいいんじゃない? 他のサークルにでも入ったら?」と伝えた。娘は「体操部に入らないなら学サポ(学生サポート)かユースホステルにでも入ろうかと思う」とのこと。
そして入学早々、娘はインフルエンザに罹患。当然ながら大学を休む羽目になった。まぁ、こればかりは仕方がない。「まずはゆっくり休んで、その間に考えを整理するのも良いかもね」と言いつつ、隔離期間が終わって登校再開。
娘は「体操部はとりあえず1回練習行ってみて、無理なら入部しない」と登校した。
いったい、どんな顔をして帰宅するのか……と思いきや「やっぱ体操楽しいわ~。体操部入る~」と、娘はすっかりいつもの調子を取り戻していた。娘以外の一般生もチラホラ体験入部に来ているみたい。そして推薦組の学生ともコミュニケーションを取れるようになったらしい。
「私と夫が心配した時間を返してくれよ」と思ったよね。
「娘が好きな体操を思う存分できる」と思って安心していたのに、体操ができなくなったら彼女の大学へのモチベーションはどうなるんだろう……とかとか。
そんなこんなで迷走に迷走を重ねていたけれど、娘も親も少しずつ新しい生活に慣れつつある。ゴリゴリの体育会系の練習は想像していた以上に大変だし「オフの日」とされている日も試合(入りたての1年生は応援だけ)があったりして忙しい。それでも基本的に娘は「身体を動かしていればご機嫌」な人間なので楽しげに過ごしている。まずは私もひと安心。
「大学生になったら娘の手を離す」と思っていたけど、精神的な部分のサポートはまだまだ必要なのだと思い知らされた。きっとこれからも色々あるのだろうなぁ~と思いつつ、第一関門は突破した……ような気がする。
娘の大学生活。良い成績を残してくれとか、一流企業に入ってくれとかそんなことは思っていない。4年間、元気に楽しく大学に通って自分の口を養える程度の仕事に就いてくれたらそれでOK。ホント頼むよ……と祈るような気持ちでいる。

