有吉佐和子の作品は、ほぼ攻略したつもりなのだが、手に入らない作品も多い。
先日、古書店でやっと、この作品と巡り合えたのでホクホク購入してしまった。
有吉佐和子が文化人類学者の友人に連れられてニューギニアの奥地を歩いた記録で今でこそ「なんだ。旅行本かぁ」という感じだが旅行番組といえば『兼高かおる世界の旅』くらいしかなかった時代を思えば「ものすごい旅」であったことは想像に難くない。
その当時は『ウルルン滞在記』なんて番組があるはずもないのだ。
女二人のニューギニア
旅行本としては、それほど面白いものではないと思う。
なにしろ作者はアウトドア人間ではないのだ。ジャングルを歩き、食事をするだけで精一杯という感じでニューギニアの人や、自然についての面白い発見の描写は少なめだった。
ただ、旅行本としてではなく、ニューギニアで書いた日記として読むのであれば筆の達者な有吉佐和子が書いただけあって面白い。
全編を通して、なにげにオバチャン・ティスティなのも味があって良い。
秘境系の旅行本は、どうしても若い人が書くことが多いのでちょっと年齢が高い人の視線が、やけに新鮮だった。
ちなみに私が、いっとう気に入ったのは同行した友人のパワフルさ加減だった。
なにか1つのことに向かっている最中の人間っていうのは、どうして、あんなにも輝いてみえるのだろう?
「頑張っている人間の姿」というのは、見ていて(読んでいて)とても気持ちが良い。
1冊読み終えて「元気を分けてもらった」と思える1冊だった。