『少女は卒業しない』は高校卒業を迎えた女子高生が主人公の短編集。ちょうど私の1人娘がまさに同世代なので「娘もこんな気持ちで過ごしているのかな?」と思いつつ読んでみた。
そして娘にはお願いして読んでもらった。朝井リョウって高校生とか大学生が主人公の小説を書く作家さんだけど「本当に現代の若者の気持ちを描けているのかな?」ってことが気になったのだ。
少女は卒業しない
- 廃校が決まった高校で最後の卒業式を迎える日、七人の少女達の一日限りの物語
- 仲間や恋人との関係に揺れながらも、自分自身の選択と向き合う少女たちが、校舎や日常の風景に別れを告げる瞬間が丁寧に綴る
- 各章では異なる少女の視点から語られ、友情や恋愛、未来への不安や希望が交錯する
感想
7つの物語からなる短編集で章ごとに主人公が変わっていくため「この物語(主人公)は好きになれなかったけど、この物語(主人公)は好きだ」みたいなことが起こりがちな仕上がりになっていた…とは言うものの、基本的に陽キャさん寄りのラインナップだった。
現役女子高生の娘が言うには「時代背景は違うけれど、高校生ってこんな感じだしリアル感あった」とのこと。書かれた時代的にLINE等のSNSは存在しないものの、現代を生きる女子高生が共感できる作品みたい。朝井リョウって凄いんだなあ~と感心した。娘には「気に入ったのなら『チア男子!!』とか『桐島、部活やめるってよ』を読んでみるといいよ」と推めておいた。
私自身は女子高出身なので、この作品に描かれている高校生達の空気感とはかなり違う高校時代を送っているものの、違う世界を除き見る感覚でもって楽しく読ませてもらった。個人的には送辞を読んだ2年生の女の子の物語と軽音楽部の話が気に入った。
ただ最後の物語だけは「いくらなんでも作り過ぎでは?」と気持ちが萎えた。ネタバレは避けたいので書かないけれど朝井リョウらしくないなぁ~と。そういうネタはもっとチャラい作家さんに任せておけば良いのにね。朝井リョウはそんなネタを突っ込まなくても作品を作れる人だと思うのだ。
それはそれとして、今回の読書の収穫は「朝井リョウは現役女子高生にも通用する」ってことが確認できたこと。凄いな朝井リョウ。いつまで若者を描き続けてくれるのか今後も見守っていきたい。



