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藍を継ぐ海 伊与原新 新潮社

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『藍を継ぐ海』は第172回直木賞受賞作。伊与原新の作品はを読むのは『宙わたる教室』『青ノ果テ —花巻農芸高校地学部の夏—』に続いて3冊目。前の2冊は長編だったけれど、今回は短編小説が5作収録されていた。

作者によると5作品とも「継承」を意思しているそうだけど、読んでみて「確かに!」と納得できる内容だった。

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藍を継ぐ海

ザックリとこんな内容
  • 表題作『藍を継ぐ海』他、4作品(『夢化けの島』『狼犬ダイアリー』『祈りの破片』『星隕つ駅逓』)を収録した短編小説集。
  • 浜に打ち上げられたウミガメの卵を持ち帰り、祖父に隠して人工孵化を試みる少女や、離島で伝説の「赤土」を追い求める男、長崎の古民家の整理をする公務員などその土地と生きる人達を描く。

感想

伊与原新の作品を3冊続けて読んでみて「この作家さんは自然科学がテーマの作品を書き続けていく人なんだ」ってことを知った。たぶん、自然科学とかそういうことが好きな人には刺さると思う。私は…言うと「嫌いじゃないけど正直そこまで興味ない」ってのが本音。

宙わたる教室』については青春小説、成長小説として楽しめたし「日本社会が抱える問題」についても触れていたので面白かった…ということもあったし、何より長編だけあって作品から漂う「熱さ」が感じられた。

だけど今回の5作品から「熱さ」を感じることはできなかった。たぶん…ノリと勢いで押し切った『宙わたる教室』よりも小説の出来としては上だと思うのだけど、なんと言うのかな。教科書的と言うか…説教臭い感じがが鼻についてしまった。

表題作にしても他の作品にしても「土地」を描くにしては尺が短過ぎる気がした。

お客様的と言うか土地に根付いた感が希薄なのだ。旅行者がその土地を訪れただけで、その土地を知った気になっている感じ…と行ったらいいのかな。泥臭さを感じない文章で「上滑りだな」と思ってしまった。

…とは言うものの。どの作品も優等生的でツッコミどころはないし教科書に載せる文章としては適していると思う。要するに私の感性に刺さらなかった…ってだけの話で素晴らしい作品だと思う。

半年後には内容が頭から抜けるタイプの可もなく不可もなくの1冊だった。

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