読んだ本の『50音別作家一覧』はこちらから>>

滅茶苦茶 染井為人 講談社

記事内に広告が含まれています。

『滅茶苦茶』はコロナ禍の日本を舞台にしたミステリ小説。

染井為人の作品で前回読んだ『海神』は東日本大震災がテーマだったのだけど、染井為人は「今の日本で起こっている(いた)こと」を記録しておきたいタイプの小説家なのだろうか?

続けて時事ネタめいた作品を読むことになった訳だけど『滅茶苦茶』は今まで読んできた染井為人作品とは少し雰囲気が違っていた。

スポンサーリンク

滅茶苦茶

ザックリとこんな内容
  • 30代のキャリアウーマンである美世子は、マッチングアプリで出会った男性との恋愛にのめり込み、ロマンス詐欺に巻き込まれ転落劇へと突き進む。
  • 北関東の進学校に通う高校生・礼央はコロナ禍の閉塞感不良に堕ちた元クラスメイトと再会し、危険な行動に引きずり込まれる。
  • 静岡県でラブホテルを経営する茂一は経営不振に苦しみ、家族を守るため違法な行為に手を染める。
  • コロナ禍を背景に孤独と欲望に駆られた三人の人生が交錯し……

感想

そこそこ面白かったのだけど、今回の作品は私の好みではなかった。だけどこれは方向性の違いの話なのでハッピーエンド志向の人は好きかも知れない。

染井為人の作品はテンポが良くて読みやすい文章なのでイッキ読み出来るのが良い。今回は主人公が3人いて、3人の主人公達の物語が集結して最後に1つの終わりを迎えるタイプ。

1人1人の物語はシリアスでのめり込んだのだけど3人の人生が1つになってからは、いきなりコメディちっくになってしまったところが私には好きになれなかった。染井為人の作品はラストでドタバタしがちではあるけれど、流石にちょっと都合が良過ぎると言うか。

それに加えて「心のコロナ」というテーマも好きになれなかった。コロナ禍の時期、日本人の心が病んでいたのは分かるけれど、なんかこぅ…正論過ぎてついていけないと言うか、学校の先生から考えを押し付けられたような気持ちにさせられた。一言で言うなら押し付けがましいのだ。

染井為人の作品の根底に流れる「人としての真面目な生き方」は大好きなのだけど、今回の『滅茶苦茶』については、それがちょっと押し付けがましい感じがした。

私はこれからも染井為人の作品を追っていくと思うのだけど、今回『滅茶苦茶』で感じた押し付けがましいノリが色濃くなるようならキツイな~とは思う。何事もバランス感覚って大事よね…と思った。

染井為人の他の作品の感想も読んでみる

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
タイトルとURLをコピーしました