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死んだ山田と教室 金子玲介 講談社

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『死んだ山田と教室』は第65回メフィスト賞を受賞。2025年の本屋大賞にノミネートされている。

私。個人的に本屋大賞のノミネート作品は出来る限り毛嫌いせずに読んでみようと思っているので読んでみた。初挑戦の作家さんだけど、なるほど話題になる訳だ…と感心した。

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死んだ山田と教室

ザックリとこんな内容
  • 高校2年生の夏休みが終わる直前。クラスで人気者だった山田が飲酒運転の車に轢かれて死んでしまう
  • 同級生達が悲しみに暮れる中、担任の花浦が席替えを提案したとき、教室のスピーカーから死んだはずの山田の声が響く
  • 山田の魂はスピーカーに憑依してしまったらしく声だけになった山田と2年E組の仲間たちによる新たな学園生活はじまる…

感想

『死んだ山田と教室』の舞台となる穂木高校2年E組。まずはこの説明から。たぶん…だけど穂木高校は慶應志木高校と推察される。

偏差値70を越える県内トップの進学校で男子校。系列大学は医学部がある。そして作者の金子玲介は慶應卒…ってことなので、慶應志木高校なんだろうな…と。作者自身の実体験をふんだんに混ぜ込んでいるせいか「男子校ノリ」がめちゃくちゃ面白い。

私は女子校出身なので「女子校ノリ」が分かるし、女子校の楽しさも堪能している。今回『死んだ山田と教室』を読んでみて「男子校も女子校と似たような楽しさがあるんだなぁ」と楽しく読ませてもらった。

穂木高校2年E組の奴らみんな馬鹿でめちゃくちゃ面白い。めちゃくちゃ面白かったけど、何だかんだの言ってエリート集団のお坊ちゃん。本当の意味の馬鹿じゃない。死んだ山田は髪を金髪に染めたチャラ男風の男子だけど、山田だってチャラ男ではない。

今回はネタバレを避けたいので物語の本質的なところは伏せておくけれど「物語の真相」の部分は勘の良い人なら早い段階で分かっちゃうのが残念だった。そしてその真相をどういう風に解決するのかをワクワクして読んでいたのに、肝心のところが抑え切れていなかったのも残念過ぎだった。

男子校ノリは面白かったけれど、せっかく学校を舞台にしていて先生(大人)も出してくるなら、大人も上手に使って欲しかったなぁ…と思ってしまう。

そして山田以外の登場人物は社会人になるところまで書いているのだから、最初から最後まで高校生の思考で押し切るには無理があった。たぶん…だけど年齢の高い大人の読者は後半の展開について「そうはならんやろ?」とか「その展開は無いだろ?」と突っ込んでしまう人が多い気がする。

だけど「現代の高校生の悩み」を描いた作品としては素晴らしいと思う。ノリと勢いとリアリティは二重丸。話のまとめかたは三角…ってところだろうか。金子玲介の次の作品に期待すると共に最後にこの言葉で締めさせていただく。

「おちんちん体操第二!」

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