安藤ホセは芥川賞の候補に2回も上がっているのに「読みたいな」って気持ちにならず、今までなんとなく来てしまった。名前からして外国ルーツの人なのかな…くらいの予想はあったものの、作者の人となりも作品のあらすじも知らないまま手に取った。
作者の安藤ホセは『迷彩色の男』と同じく黒人系の日本人でゲイとのこと。ある程度、そこのところを理解して読むべきだったと後から思った。
迷彩色の男
- 主人公はブラックミックスであり、ゲイでもある男
- ファイトクラブ(俗に言うハッテン場)で知り合った恋人(セックスフレンド)が惨殺されて…
感想
読み難かった。猛烈に読み難かった。ゲイと暴力とセックス…って感じの作品なので、このノリが苦手な人はあえて読まなくても良いと思う(私は読んで後悔してし途中で読むのを辞めたくなった)
芥川賞の選評では大絶賛されていたけど私自身は「なんか初期の村上龍っぽいな」と思ってしまった。村上龍はゲイでもブラックミックスでもないけどセックスとか暴力とか厭世感とか書かせたら上手かったな…と。
文章は独特で大変読み難い。私はゲイじゃないので『迷彩色の男』に登場するハッテン場の雰囲気がどういうものか分からないのだけど、なんかちょっとアメリカ映画っぽい色彩でクラクラしてしまった。
最近はLGBTQへの理解を深めていこう…みたいな流れがあるものの、マイノリティの人達はなかなか生きづらいんだろう…って事は察しがつく。
私の住んでいる地域だと黒人系の人とあまり見掛けないので、街ですれ違ったりすると正直ハッとしてしまうのだけど、主人公の男は「保育園の頃から周囲の視線に傷つけられてきた」とのこと。そりゃそうだよなぁ…と思うものの今の日本の状況で視覚的な違いを「当たり前のもの」として受け入れることは難しい。
セクシャルマイノリティの問題とか、そういうところを描きたかっただろうことは理解したけど、それにしても恋人(たとえセックスフレンドでも)が惨殺されても案外普通に生活出来ていたりするところが私には理解不能だった。
もっと深く考えて読むタイプの作品なのか知れないけれど私の感覚には合わなかったし、安藤ホセの作品はもうこれ切りにしようと思った。