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映画『約束のネバーランド』感想

3.5
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映画版『約束のネバーランド』は週間少年ジャンプで連載されていた白井カイウ・出水ぽすかの人気漫画『約束のネバーランド』を実写化した作品。『約束のネバーランド』は長編漫画なのだけど映画版はGFハウス脱獄編をもとに構成されている。

コロナ禍真っ只中の2020年に公開されて、なんだかんだと酷評されていた覚えがあるのだけれど、このたびメデタクAmazonプライムの無料枠に入ってきたので視聴してみた。

ちなみに私は原作漫画は全巻持っているし、アニメ版も全話視聴している。

今回の感想はネタバレを含むものになるのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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約束のネバーランド

約束のネバーランド
THE PROMISED NEVERLAND
監督 平川雄一朗
脚本 後藤法子
原作 白井カイウ
出水ぽすか
製作 村瀬健
小林美穂
出演者 浜辺美波 城桧吏 板垣李光人
渡辺直美 北川景子
音楽 得田真裕
主題歌 ずっと真夜中でいいのに。
「正しくなれない」
撮影 今村圭佑
編集 伊藤伸行
公開  日本 2020年12月18日
上映時間 119分

あらすじ

孤児院」グレイス=フィールド(通称ハウス)はシスターで「ママ」と慕われるイザベラのもとで、血縁関係のない兄弟姉妹たちが幸せに暮らしていた。

ハウスでは赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から12歳までの間に里親の元へと送り出す…と孤児たちは教えられていた。

ある日、里親が見つかって外の世界に出ることになったコニーがハウスにぬいぐるみを置き忘れる。身体能力に優れるエマと、知略に優れるノーマンはそれを届けることにする。しかし2人はイザベラから近づくことを禁じられていた「門」でコニーが食肉として出荷される瞬間を目撃する。

「鬼」の存在を知った二人は博識なレイやドン、ギルダを仲間に引き入れ、GFからの脱獄計画をスタートさせる。

その中でエマたちは、グレイス=フィールドが監獄のような「人間飼育場」であることを確認した。

エマ達は脱獄の準備を始めるものの、増員監視者としてシスター・クローネが派遣され、さらにレイがイザベラのスパイであったことが発覚する。

様々な心理戦が繰り広げられる中、脱獄を試みる標的がいることを特定されるが、あくまで管理を維持したいイザベラの思惑を逆手にとり、ノーマンはレイを二重スパイに引き入れ計画を進める。

「ママ」の座を狙いイザベラを蹴落とそうと企むシスタークローネと仮初めの協力関係を結ぶ子供たち。その中でエマたちは、ハウスの蔵書から自分たちの味方かもしれない人物ウィリアム・ミネルヴァの名を知る。しかしシスタークローネはイザベラの画策によって出荷されてしまう。

さらにイザベラは計画を封じるためエマの足は折り、ノーマンの出荷を告げる。

レイとエマは、ノーマンの発信器を無効化し全員の脱獄敢行まで潜伏させる作戦を立てるがノーマンは残される子供たちの脱獄に支障が出ることを恐れ、発信機を生かしたまま下見を強行しハウスに戻る。

ハウスの周囲は崖で本部と繋がる橋が唯一の出口ということが判明したが、ノーマンの出荷は確実となった。悲しみに暮れるエマたちを残し、ノーマンはシスターの遺していたミネルヴァのペンをエマたちに託しハウスを後にする。

レイはハウスを火事にさせて、ハウスに警備を集中させて橋から逃げる作戦を立てる。レイは出荷目前の高級品である自分もハウスと共に燃えようとする。エマはそれを阻止し、ノーマンの伝言をもとに年少者の中で最も成績のよかったフィルに農園の真実を打ち明けて他の年少児を任せ、5歳以上の子供たち皆でGFを脱獄することにした。

酷評されていたけれど

映画公開当時、原作ファンの間ではめちゃくちゃ酷評されていた記憶があるけれど、私は面白いと感じたし、けっこう楽しむことが出来た。

ただ原作ファンが「コレジャナイ」「原作と違う」と怒る気持ちは理解出来る。原作とは随分と違う部分が多いのだ。特に個々のキャラクターのズレが酷い。年齢を改変しちゃったのもそうだし、エマ・ノーマン・レイは同い年3人組だったのにレイだけ年齢がかなり離れる子役を持ってきちゃったのは致命的だった。レイだけ原作に近くて、エマのノーマンが年上に見えてしまって違和感があり過ぎる。

だけどまったく予備知識なくて原作を知らずに観たらアリかもなぁ~とも思う。

原作キャラクターとのズレ

ちまたでは「レイ」が下手くそ過ぎる。との評判だったけど、子役だったら「あんなもん」だと思う。エマを演じた浜辺美波と5歳も年が離れていたら「そりゃ較べる方が酷でしょ」って話だ。

20代、30代の5歳差と10代の5歳差とでは年齢差と言ってもまったく違う。「ついこの間までドッジボールをしていてた男子と、大人の階段を登り始めた女の子とでは話にならないくらいの差が出てきて当然なのだ。

テレビCMでは評判の良かった渡辺直美のシスタークローネはなかなかの熱演だったと思うものの原作のシスタークローネとは似ても似つかない感じだった。それでもインパクトのある演技で個人的には良かったと思っている。

原作に近くて、なおかつ良かったはの北川景子演じるイザベラだった。原作のイメージそのままの美しさで「これぞイザベラ!」と心が震えた。

登場人物達は原作とは違っていたけれけど熱演していて映画作品としてはバランスが良かったと思う。

美しい自然とセット

『約束のネバーランド』は「なんちゃって英国」みたいな世界観の中で繰り広げられる物語。子ども達から暮らす「ハウス」はイギリスの寄宿舎っぽいし、ハウスを囲む森も『ピータラビット』とか『不思議の国のアリス』のような雰囲気。

漫画やアニメなら好き勝手に描くことの出来る世界観。「実写化したらどうなるのかな?」と思っていたけれど、圧倒的に美しかった。

緑の森の中に建つ美しいハウス…映像的に素晴らしい。

視聴後に調べたのだけどハウスの撮影は福島県猪苗代町にある国指定重要文化財「天鏡閣」にセットを増築して行ったとのこと。またハウス周辺の森での撮影長野県の茅野市、富士見町、伊那市などで行ったらしい。

『約束のネバーランド』の世界観を作るために費やされた努力に拍手を送りたい。

人気漫画を実写化する難しさ

『約束のネバーランド』は人気漫画を実写化するのは難しいね…ってことを痛感させられた作品だった。原作抜きで作品を捉えたら「面白かった」と言えるのだけど「原作に忠実だったか?」と聞かれたらNOとしか言えない。

それでも私は楽しめてしまった訳だけど、熱い原作ファンが怒ったのも理解できる。

いっそ「この漫画をインスパイアして作品を作ります。世界観は別物です」みたいな売り出し方が出来たら摩擦が起こらないのかも。

賛否はあるだろうけど実写映画版『約束のネバーランド』はくたびれた週末の夜などに、頭を空っぽにして観るには良い作品なんじゃないかな…と思う。

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