前回読んだ『タクジョ!』が面白かったので続けて続編を読んでみた。
『タクジョ!みんなのみち』はヒロインの夏子だけでなく、夏子と共に働くタクシードライバー達を主人公にした連作短篇形式だった。
1人を掘り下げる形ではないので前作より軽い作品になっている。ただ「続編が無印を越えるのは難しいんだぜ」って事を考慮すれば充分楽しめる作品だと思う。
前作のファンブック的なノリなので『タクジョ!』が気に入った人は読んでみても良いかも。
タクジョ!みんなのみち
- 新人タクシードライバー、夏子の成長を描いた『タクジョ!』の続編。
- 今回は夏子だけでなく、夏子と共に働くタクシードライバー達の物語。
- イケメンお調子者の先輩ドライバーや強面のベテランドライバー、ドライバーから内勤に職種変更を考えている同期の女性ドライバーなど。
- それぞれ違うスタンスを持って働くタクシードライバー達のお仕事譚。
感想
なんとなく仕事に嫌気がさしているタイミングで読んだ『タクジョ!』が妙に刺さったので、続けて続編である『タクジョ!みんなのみち』を読んでみた。題名になっている「みんなのみち」とは登場するタクシードライバー達の道」と言う意味(他の意味もあるけれど)が含まれている。
連作短編形式で物語ごとに主人公が違うため、1つの話が短くて掘り下げ度は浅めだけど、考え方の違うタクシードライバーが登場するのが面白かった。仕事の出来る人や良い人ばかりを取り上げていないところが気に入った。例えば「仕方なくタクシードライバーをやっている」と言い切るドライバーや「女の子」を前に出してくる新人ドライバーなど、どの業界にもいそうな人が登場する。
そして前作のヒロインである夏子もちゃんと登場する。前作では新人ドライバーだった夏子もドライバー歴4年目で後輩がいる設定。前作では先輩達を見上げるばかりだった夏子が後輩と向き合っている姿に温かい気持ちになってしまった。
『タクジョ!』と『タクジョ!みんなのみち』を読んで「働いている人はみんな偉いな」としみじみ思った。仕事が楽しいと思っている人も仕事が楽しくない人も「働いている」って時点で凄いことなんだなぁ…と。どんな仕事も楽しい事ばかりじゃないんだもの。
『タクジョ!』と『タクジョ!みんなのみち』を読んで「なんか良いな」と思ったので、小野寺史宜の書いた他の作品も追々読んでみようと思う。