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ボラード病 吉村萬壱 文藝春秋

褒め言葉として受け取って戴きたいのだけど、吉村萬壱はなんて嫌な話を書くのだろうと感心した。

吉村萬壱の作品を読むのはこれて2冊目だけど、たぶん私は作者と相性が良いのだと思う。

不条理小説だけど『臣女』に較べるとずっとマイルドで読みやすい。誰かに「これ、面白いよ!」とオススメしたいのだけど、読後感が悪い作品なだけに、表立ってオススメ出来ないのが残念だ。

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ボラード病

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ザックリとこんな内容
  • とある海辺の街で暮らしている恭子という小学5年生女子の日々。
  • 30代になった恭子が当時を振り返って手記を書いたという体裁。
  • 恭子は母子家庭で母親と2人きりで暮らしている。
  • 母親はちょっと変わったところのある人だった。
  • 母親との確執を描いた作品と思わせておいてからの震災文学だった。

感想

震災文学と言っても現実にあった3.11の大震災をモチーフにしているものの、物語の舞台は架空の街だ。

ちなみに題名の『ボラード病』という病名は作中には登場しない。

ボラードとは「杭」のことで、岸壁に設置して船を固定したり、道路や公園の前に設置して自動車が侵入してこなくするための物。

作品を最後まで読むと、どうしてボラード病と言う題名になったのか「なるほどなぁ」と納得すると思う。

主人公の小学生生活の描写は、小学生特有のモヤモヤした感じがよく表現されていると思う。

小学生の頃って無邪気な部分もあるけれど、誰しもドロッっとした感情を持っていたと思う。その辺りが妙にリアルだった。

だけど大人が持つ「ドロッっとした感情」とは少し違っていて、やはり幼い。幼いからこその不安感や頼りなさ……あの独特の世界が生き生きと描かれていて感心させられた。

そしてこの作品は震災文学でもあるのだけれど、他の震災文学とは視点が違っているところが面白い。

震災文学と言うと、原発批判か人間賛歌、人間の本質的な部分(罪とか善性とか)または、絆の大切さなどが前面に出された作品が多いのだけど「地域が一丸となって頑張ろう」と言う風潮についての批判がなされていた。

「周囲と同調する」と言うのは日本人の得意分野で力を合わせて頑張ってきたらからこそ日本は発展したのだし災害等の後の復興が早いのだと思うのだけど、そこに産まれる病んだ部分に容赦なく斬りこんでいる。

ネタバレをせずに感想を書こうとすると奥歯に物が挟まったようになるのが残念なのだけど「気になるな」って方には是非読んで戴きたいと思う。

ただし読後は決して良くない。でも面白い。吉村萬壱マジ凄い。

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白い木蓮の花の下で
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