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映画『レナードの朝』感想。

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『レナードの朝』は1990年に公開されたアメリカ映画。原作は医師・オリバー・サックスの医療ノンフィクション。要するに「本当にあったこと」って訳だ。

私は公開当時、劇場で観た。つい最近のことのように思えるのだけど、もう30年前の作品なのだから驚きを禁じ得ない。

公開当時はロバート・デ・ニーロの演技が話題になっていたように思う。

当時の映画って『レイマン』や『ギルバート・グレイプ』等、不思議と一般の人の理解が少ない障害者や難病を患った人が登場する作品が多かった気がする。

そう言えば最近、この類の作品は少ない気がするけれど、方向性の流行り廃りがあるんだろうか。

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レナードの朝

レナードの朝
Awakenings
監督 ペニー・マーシャル
脚本 スティーヴン・ザイリアン
原作 オリヴァー・サックス
製作 ウォルター・F・パークス
ローレンス・ラスカー
製作総指揮 ペニー・マーシャル
アルネ・シュミット
エリオット・アボット
出演者 ロバート・デ・ニーロ
ロビン・ウィリアムズ
音楽 ランディ・ニューマン
公開 アメリカ合衆国の旗 1990年12月22日
日本の旗 1991年4月5日

名優の共演

『レナードの朝』は主人公のレナードをロバート・デ・ニーロ。セイヤー医師をロビン・ウィリアムスが演じている。今にして思えば贅沢過ぎるほど贅沢な共演。

ロバート・デ・ニーロにしても、ロビン・ウィリアムスにしてもそれぞれ1人だけでも充分客を呼べる映画が作れると言うのに、2人セットで楽しめてしまう至福。

そして、2人もも演技派ときている。

レナードを演じたロバート・デ・デニーロの演技き鬼気迫るものがあった。

私は現在、放課後等デイサービスという施設で働いていて重度障害をもったお子さんと接している。

知的障害を持ったお子さんの中には癲癇を持っているお子さんが多いのだけど、レナードが痙攣を起こす場面はリアル過ぎて怖いほどだ。

実のところ、名演技を観せてくれていたのはロバート・デ・ニーロだけではない。

レナードと共に病院で治療していた患者を演じていた役者さん達はかなり勉強されたのだと推察する。

目の動きにしても、身体の動きにしても実にリアルで驚かされる。

『レナードの朝』の素晴らしさは、とりあえず「役者の演技凄すぎだろ…」ってところに凝縮されていると思う。

意思疎通が難しい人達との関わり

『レナードの朝』は「なんか分からないけど難しい病気があるんだなー」とか「新薬の可能性凄いなー」みたいな感想を持ってしまいがちだけど、これって自分のことに置き換えて考えると物凄く辛い話だ。

レナードやレナードと一緒に治療を受けていた患者達は長年、他者と意思疎通をすることが出来ず「生きているんだか死んでいるんだか分からない状態」にいた訳だけど、薬の力で本来の状態を取り戻す。

何らかの原因で他者と意思疎通が出来なくなる可能性がある…と考えると恐ろしいことだし、実際にそれは普通に起こる。

その最たる例が認知症。認知症の患者さんって、普通の人からすると理解できない行動を取るけれど、自身の心がない訳じゃない。

また重い知的障害や精神疾患を患っている人と意思疎通を取ることは難しい。

私も日々仕事をしていて「本当にこれで合ってるんだろうか?」と自問自答しながら子ども達と関わっているけれど、どこまで行っても正解には行き着かない。相手と通じ合うことが出来なもどかしさはも、とても言葉に言い表すことが出来ない。

ただ1つ分かっているのは「意思疎通の出来ない人だからって粗略に扱ってはいけない」ってことだ。

実際、レナード達は薬の力で目覚めている。

レナードとセイヤー医師の友情

『レナードの朝』の物語的な盛り上がりはレナードとセイヤー医師の友情にある。

セイヤー医師は人と関わることが苦手な人間だけど、人嫌いのワガママな男…って訳ではない。誠実な人柄で誠心誠意、患者達とか変わっていく。

中でもレナードとの関わりは深く、レナードとセイヤー医師は患者と医者と言う垣根を越えて友情を育んでいく。

物語の終盤、薬の効果が切れて症状が悪化しつつあるレナードは、セイヤー医師に自分を撮影し、自分から学んで欲しいと願う。

激しい痙攣と戦いながら「学べ」と言うレナードを撮影するセイヤー医師はどんな気持ちだったのか。

レナードとセイヤー医師は友人から大切なものを得る。

レナードはセイヤー医師の治療によって、一瞬ではあったものの輝かしい時間を得た。そして、セイヤー医師はレナードとの関わることで人と関わることの大切さを知る。

ただ切ないのはその友情の交わりはレナードの病によって切り離されてしまった…ってことだ。

私は今回、数十年ぶりに『レナードの朝』を観たのだけれど、今もなお色褪せることのない感動があった。

『レナードの朝』はハッピーエンドとは言えない作品だけど、後世に残って欲しい名作だと思う。

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