図書館の絵本コーナーで、表紙絵が、あまりにも可愛らしかったので、うっかり借りてしまった1冊。
ちょっと意地悪そうなキツネと男の子が、それぞれ串団子とペロペロキャンデーを食べているところで、いかにも「悪ガキ」という表情がたまらなくラブリーだったのだ。
絵本に関していうならば「癒し系」な絵柄よりも、個性のある……というか、自己主張を感じる絵の方が好きだ。画集やイラスト集になると、そうは思わないのだが。
ねぇ どっちがすき?
目玉焼きと卵焼き、リンゴとバナナ、ぶらんこと滑り台、ねえ、どっちが好き?
楽しくてすてきなものの数々から、どれか一つを選ぶとしたら?
それは、嬉しいけれど、とっても難しい選択です。子どもたちに直接語りかけてくるリズミカルな文章と、躍動感あふれるタッチで描かれた茶目っ気たっぷりの男の子とキツネくん。
アマゾンより引用
感想
本の内容は笑っちゃうほど単純明快。
「めだまやきとオムレツ、どっちがすき?」「おひさまとおつきさま、どっちがすき?」「ウィンナーとハンバーグ、どっちがすき?」てな具合に、ただひたすらに延々と「どっちが好き?」問答が展開されていくだけのものである。
「私は断然○○の方が好きだな」と選べるものもあれば「これは究極の選択かも……選べない」と頭を抱えてしまうようなものもあって、大人が読んでも面白かった。
幼い子どもが読めば、もっと面白いんぢゃないかなぁ~と思う。
表紙絵に、ピンときて借りたのだけれど、本編の絵も素敵だった。
素敵な絵を描く人はたくさんいるけれど、こんなに表情豊かな絵を単純な線で描ける人は少ないんじゃないかと思う。
とくに「ウッシッシ」というような感じで笑っている顔が最高に良い。
このテの「ちょっとシタタカっぽい表情」ってのは、魅力的だ。幼いからってくったくのない笑顔だけで生きている訳ではないものなぁ。降矢奈々の観察力の鋭さに脱帽である。
ちなみに「安江リエ 文・降矢奈々 絵」ということなので、私が惚れたのは降矢奈々の絵……ということになるのだが、本の分類上文章を書いた人の名前で分けさせてもらった。
絵本が増えるようなら、その辺のことも考えなくてはいけないかもなぁ。
幼い人と読んでもよし。友人と読んでもよし。
好きな人と読んでもよし……できれば1人で読むよりも、誰かと一緒にページを繰って「どっちがすき?」と語り合うといいんじゃないかと思った1冊だった。