私は毎年、夏は「少年の成長物語を読む」と決めている。単なる妄信に過ぎないのだけど少年にとって「夏」は特別な季節だと思うのだ。
夏休み明けに、教室に入ると突然クラスメイトの男子が大人びていて吃驚する…あの感覚を味わいたくて、必ずそのテの作品を手に取るのだ。
この作品は男子小学生が主人公で、夏休み前から夏休み明けにかけての出来事が描かれていた。
ペンギン・ハイウェイ
ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。
ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした―。
少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。
アマゾンより引用
感想
物語としては面白かったし、登場人物達も魅力的だったのだけど、肝心の主人公が「小学生の皮をかぶった大人」だったのだ。
主人公の少年は、非常に賢い子なのだけど、いかんせんラノベ的なキャラクター設定と言うのだろうか。現実感が全くなくて物語に入っていけなかった。
ただ、会話劇的なセリフの掛け合いは面白かったし、登場人物達も「小学生」と思って読むと「そりゃ、ないわ」と突っ込みたくなるのだけれど、年齢をちょっと横に置いて楽しむことが出来るなら、充分魅力的だったと思う。
この作者の作品を読むのは初めてなのだけど全体的に「ラノベ」ちっくな印象を受けた。
それなりに面白いのだけれど、軽い。悪くはないけど物足りない。そこが残念。
森見登美彦は以前から気になっている作品があるので、他の作品を読んでみようとは思うのだけど、この作品に関してはイマイチ私の好みではなかった。
ただ映画化したら面白くなりそうな予感。「どこからペンギン連れてくるんだ?」って問題があるので無理だと思うけれど。
ラノベのノリが大丈夫なら楽しめる作品だと思うし、ペンギン好きの方は楽しめると思う。