『アサヒ芸能』に連載していたエッセイをまとめたエッセイ集。
小説と違って、気の抜けた文章でサクサク読めた。
ファンなら読んでおいても損はないと思うのだけど、そうでなければ微妙かも。エッセイ本としては、そこまで面白いとは思えなかった。
下手に居丈高
世の不徳義を斬り、返す刀でみずからの恥部をえぐる。この静かで激しい無頼の流儀――。
煙草とアルコールをかたわらに、時代遅れな“私小説”の道を突き進む孤独な日々は、ひとつの意志と覚悟に満ちている。
したてに「落伍者」を自認する、当代きっての無頼派作家は現世の隙間になにを眺め、感じ、書いているのか。軽妙な語り口でつづられる「週刊アサヒ芸能」連載の傑作エッセイ集。
アマゾンより引用
感想
私は西村賢太に対して、ちょっとした思い入れがあったので、この作品を読んでみて「なんだ。案外普通の人だな」と、ちょっぴりガッカリした。
普通の人が悪いって訳ではないのだけど、無頼の限りを尽くしているイメージが強かったのだ。
それと同時に「なんがか面倒くさそうな人だな」とも思った。私はきっと、作者とは友達になれないと思う。
……などと書きながらも、どこか憎めないところがあるのが作者の魅力なのだと思う。
小説もそう。ちょっと読み難いし、私小説ばかり(読書録に書いていないけれど、結構読んだ)だと正直飽きてくるのだけど、しばらくしたら「ちょっと読んでみようかな」と思ってしまう魅力があるのだ。
もしかしたら、悪い男に貢いでしまう女の気持ちって、こんな感じなのかも知れない。
西村賢太の姿を別の側面から垣間見た……と言う意味では面白かったけれど、エッセイとしてはイマイチな1冊だった。