私は読書をこよなく愛しているが、だからと言って何を読んでも「面白かった」と思える訳ではない。
時には読了と同時に「自然に帰れ」とリサイクルボックスへ投げ捨てたくなるような本に出くわすこともある。
人の趣味、嗜好はそれぞれなので、常に自分のニーズに合った本に行き当たるとは限らないのだから、こればかりはどうしようもない。
サイトを立ち上げた当初は「面白くなかった」というような否定的な意見を書くのに躊躇いがあったのだが、最近は遠慮なく否定的なことを書くようになった。
ネットの片隅で市井の読者が好き勝手なことを書き散らしたからといって、何がどうなる訳でもない。
そりゃあ雑誌や新聞といった公共性の高い場所への投稿だの、他人様のHPの掲示板やメールに、言いたい放題書きまくるとなれば問題だが、自分のHPに載せる物には歯に衣着せる必要はないと考えている。
私自身は、自分の好きな作家さんや、その作品が酷評されていたとしても、あまり気にはならない。
どんなにその作家さんや作品が好きだとしても、私は作家や作品のファンであって、信者ではないのだ。完璧な作家なんているはずがない。
なので、酷評を目にしても「ああ確かに、それは言える。だけど私は、それもひっくるめて好きなんだな」とか「ここはマズイが、こういう部分がツボだから好きなんだな」くらいは思うけれど。
自分の好きな作家さんや、作品を否定されて不愉快になる気持ちは分からなくもない。
しかし、自分の好きな作家さんや作品が「読んでさえもらえない」よりも、広く読んでもらって、なんらかの形で話題にしてもらって、次の時代へ繋げてもらう方が、ずっと良い……と私は考えている。
もっとも、作家さんや作品への愛情が薄いからそう感じるのだと言われてしまうば、それまでだが。
「わざわざ嫌いな作家さんの作品を読んで、感想まで書く必要はない」との意見を戴いたこともある。
しかし、たとえ感想が否定的なものであっても、それは1冊の本を「読み終えた」証なのだ。
私は、否定的な感想を書き残していくことも、キチンと本と向き合っている証だと胸を張っていたいと思う。