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おれのおばさん 佐川光晴 講談社

そこそこ面白かったのだけど、個人的には残念な1冊だった。

読み物としは及第点だと思う。

だけど、ずっと佐川光晴作品を追ってきた私の目には「あなたの実力はこんな物じゃないでしょ?」と言いたくなるレベルの作品だった。

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おれのおばさん

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ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介。父が横領した金を返済するため、陽介は都内の名門中学を退学し、母の姉が運営する札幌の児童養護施設、魴〓(ぼう)舎に入ることになる。

急激な暮しの変化に当惑しながらも、パワフルなおばさんと個性豊かな仲間に囲まれて、陽介は“生きる”ことの本質を学んでゆく。

ときに繊細で、たくましい少年たちの成長を描いた青春小説。

アマゾンより引用

感想

佐川光晴の作品は一貫して児童福祉に関係する話が多い。「子供」とか「家族」とか、そういうことをテーマとして書いておられるのだろう。

佐川光晴の真面目で真摯な姿勢は好きだし、今回の作品も「佐川光晴らしい」と言えるものだったとは思う。

何不自由ない暮らしをしていた名門中学に通う男子中学生が、父が起こした横領事件を機に、会ったことのなかった伯母が経営する児童養護施設で生活することになり、そこでの繰り広げられる物語。

お話はそこそこ面白いのだけど、ちょっと明るめの文体が作者の持ち味と合っていないように思った。

佐川光晴は本質的には『縮んだ愛』とか『銀色の翼』のような鬱系の作品の方が得意なんじゃないかなぁ。明るい文体なのだけど、どこか重くて鬱陶しい。

重松清と軽く路線がかぶるのだけど、重松清の方が上だと思う。

それに、設定がちょっと古いのも気になる。「おばさん」がアングラ劇団出身と言うは悪くないけれど、そのノリと現代に生きる子供を結びつけるのは、ちょっと厳しい。

「アングラ劇団」という設定は、佐川光晴の作品で何度となく使われているのだけれど、過去を描くのならともかく現代に持ち込まれてもピンとこない。

物語自体は爽やかな成長物語で悪くはないと思う。

風呂敷の畳み方が、やや乱雑な気がしたがそれはご愛敬ってところだろうか。足りないのは若さと勢い。悪い作品ではないと思うだけに残念でならない。

佐川光晴には個人的に「芥川賞をとらせてあげたいなぁ……」と思っていたのだけれど、今回の作品を読んで「もう旬は過ぎちゃったのかなぁ……」と思ってしまった。

もっとも切れる文章を書いている時にとらせてあげたかったなぁ。(候補には挙がってはいたのだけどね)。

悪くは無いけれど、色々な意味で残念に思われてならない作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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