鴻池留衣は初挑戦の作家さん。一応、新人作家さんのくくりに入るのだけど、感覚が古くて困惑してしまった。
今回はdisっていく方向なので、鴻池留衣が好きな方は読まない方が良いかもです。
芥川賞候補に入った作家さんらしいのだけど、どうなんだろうか?
ナイス・エイジ
あらすじを説明するのも面倒臭いと思ってしまったので、アマゾンさんの解説を丸っと引用させていただきます。
「2112年から来た未来人だけど質問ある?」真実不在の時代の新文学。噓かホントか勝負しろ! 未来人がオフ会に降臨!? 興味本位で参加したAV嬢の絵里は自分の孫と名乗る青年と知り合い同棲。その日常はネット民の際限なき好奇心の餌食となってゆく……。
アマゾンより引用
感想
15年前なら間違いなく面白がって読んだと思う。
当時はまだ2ちゃんねる全盛期だったし、私自身、夫とは2ちゃんねるで出会って結婚しているのでネット民を巻き込んで、どうのこうのするネタは嫌いじゃない。
「嫌いじゃないけど、どうして今、このネタなの?」と言う気持ちで一杯になってしまった。もしかして、今の若い世代には一周回って面白いのだろうか?
作中で2ちゃんねるに集う人達は、それこそ『ムー』とか読んでいそうな癖のある人達と一般の人達。分かる…そのノリ分かる。でも、今の時代にそれを持ってくるのは無理があり過ぎるのではなかろうか?
- プラットホームをTwitterとかインスタにしなかった理由は何なのか?
- オフ会のノリは今も昔も普遍的なものなのか?
- むしろ「古い感じが逆に新しい」のか?
46歳の私には「なんて古臭い小説なんだろう」としか思えなかった。いちいち、感覚が年寄りくさい。中年の私が読むと「あ~黒歴史っぽいノリだねぇ」としか思えないのだけど、今の若者にはそういう路線が良いのだろうか?
同時に収録されている『二人組み』は新潮新人賞受賞とのこと。性欲ギンギンの男子中学生が主人公。もしかしたら、同世代の若者か、もしくは「その時期を過ぎ去った男性」が読めば共感出来るのかも知れない。
主人公の少年は歌と勉強が苦手な無口な女の子「坂本ちゃん」と関わり、やがて「放課後限定の恋人」となるのだけれど、女性視点で読むと主人公カップルの関係がどうにも不愉快でならなかった。
「恋」と言うよりも「自分より下の存在を設定して安心している」って感じがどうにもこうにも。「文学の本質が人間を描く事」とするなら、そう言う関係もアリだとは思う。
ただ、どうにもこうにもテンポが悪い。この気怠い感じも好きな人にはたまらないのかも知れないけれど、私にはついていけなかった。
何なんだろうなぁ…この感覚。
私には全く理解出来なかったのだけど、これが「一周回って面白い」のであれば、アリだと思う。私が面白くないと感じるのは私の感覚が古いだけなのだと思う。
他の作品を読んでみたいとは思わないけれど、鴻池留衣が今後、どんな活躍をするのか興味はある。
感覚が合わなかったので読了するのに手間取った作品だった。