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宝塚歌劇『PRINCE OF LEGEND』『BAYSIDE STAR』感想。

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宝塚歌劇、宙組公演『PRINCE OF LEGEND』『BAYSIDE STAR』を観劇した。

2024年に『ベルサイユのばら』を観劇以降、宝塚大劇場での公演は全て観劇しているものの、いまだ推しもおらず特定の組を推すでもないゆるゆるスタイル。

今回の公演は宝塚友の会で初めて1次抽選のSS席が当選したので行ってきた。なんと今回は6列目の通路側。もう今年1年積み上げてきた徳や幸運を一気に放出した気がする。

宝塚の感想を書く時は毎回書いているけれど私はヲタクで宝塚歌劇を愛しているものの、ガチガチの宝塚ファンではないのでヅカ用語は使いませし愛称で呼んだりもしません。

スターは敬称略が礼儀…と考えているので「さん付け」表記はしませんのでご容赦ください。(もちろんご本人と対面で話をする機会があれば『さん』付けでお呼びします)

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PRINCE OF LEGEND

『PRINCE OF LEGEND』は2018年に放送されていたドラマで映画化もされている。私は映画版を予習してから公演に挑んだ。

映画版の予告動画

映画等で予習しなくても宝塚版の公演は十分理解出来る内容だけど事前予習しておいてより楽しめたかな…とは思った。なおAmazon Primeの無料公開枠には入っていなかったのでレンタルで視聴した。(『PRINCE OF LEGEND』は無印と「貴族降臨」の2編あるので宝塚的予習をされる場合は無印を視聴してください。「貴族降臨」は続編なのでご注意あれ)

乙女ゲーム風のドタバタコメディで実のところ「内容は無いよ~」くらいの作品。ただし男役が輝くと言う意味では宝塚歌劇にはピッタリくる作品だと思う。映画版で予習した時に「これは絶対に面白くなる!」と確信したけれど、予想以上に面白かった。

1人の女の子を複数チームで争う…と言う内容の物語なのだけど、タイプの違う複数のイケメンってところが素晴らしい。

  • 正統派の王子様
  • 不良だけど硬派な男
  • 先生
  • 年下
  • 財閥貴族

……等タイプの違うイケメンが各種取り揃えられていて、そのイケメン達が輝く場面がキッチリ抑えてあった。方向性の異なるイケメンレビューをツギハギした作品である…と言っても良いと思う。

そして今回は宙組のトップスター桜木みなとのお披露目公演でもあったのだけど、役柄にピッタリの男役さんで素晴らしかった。正統派王子様が似合っていて、原作ドラマのイメージを体現していたと思う。

私個人はセカンドの京極尊人を演じた水美舞斗が好みだった。宝塚的正統派イケメン。しかも身体のキレが美しく上品二頭筋の仕上がりっぷりが素晴らしかった!

男役スターツートップが素晴らしかったのは当然として。他の配役もしっくりきたし「この役の人、正直イマイチだなぁ~」と感じる人が1人もいなかった。これって、かなり凄いことじゃないかな? 娘役さんも原作に負けず劣らずの好演で得体のしれない役どころである成瀬花音を見事に演じきっていたと思う。

私が「おおっ」と思ったのは理事長の実相寺光彦の表現。実写版では加藤諒が怪演していた役どころだけど、宝塚版ではビジュアルを大幅に改変。なんだか『ジョジョの奇妙な冒険』に登場しそうな風体で宝塚らしくて良かったと思う。本家の加藤諒の方向性とは違っていたけどコレはコレでアリだと思った。

舞台セットも豪華で見応えがあった。特に注目して戴きたいのは舞台狭しと登場するリムジンの存在。あのリムジン本物なの? それとも作り物? それにしても長いリムジンを舞台に乗せるとか宝塚ならではの力技。プリンス&プリンセスが白いリムジンに乗って登場するとか、最高過ぎだった。

正直「トップ就任お披露目公演でコメディって、どうなの?」と思っていたけど、むしろ良かったと思う。素直に楽しめる素晴らしいお芝居だった。

BAYSIDE STAR

『BAYSIDE STAR』は世界の港町と海がテーマのショーだった。キラキラ度が高めで楽しいショーではあったけれど、ショーで『海行かば』が使われていて界隈では物議を醸していたのは知っていたけども実際に観るまでは何も言うまい…とて、フラットな気持ちで挑ませてもらった。

さて。実際にショーを観ての感想だけど『海ゆかば』以外については素晴らしいと思ったし、素直に楽しむことができた。

謎センスのイラストをスクリーンに映して多用していたことには「なんかダサくないですか?」と首をかしげたものの、元気あふれる素晴らしいショーだと感じた。

キラキラ度が高くてお披露目公演のショーらしいと感じたし、お芝居では「可愛い」を前に出していてプリンスを演じていたトップスター桜井みなとが男役らしい姿を見せてくれて満足した。

海ゆかば問題

ただし『海ゆかば』アレは駄目だ。

界隈では『海ゆかば』はもともと万葉集が原点で…とか、「戦争云々ではなく鎮魂歌として…」と苦しい擁護もあったけれど、いじめパワハラで自殺者を出してしまった宙組の舞台で使って良い曲では無かった。しかも黒タキシードのタキシード群舞の前振りに使うとか最悪過ぎる。

ファンの中には「トップが『海ゆかば』を歌うことを拒否するべきだった」と厳しい意見を持つ人もいたけど、それはそれで酷な話。就任したばかりで、そこまで強く出るのは難しいと思う。「もし自分がその立場だったら?」と想像すると「嫌でも歌うしかないよなぁ」と思ってしまう。

宝塚ファン…特に事件後も宙組を推しているファンの皆さんは苦しいものを抱えていると推察する。

世の中では批判する人も多いし、いじめパワハラがあったことも事実。人の犠牲の元に成り立っている集団…と言われてしまえば否定出来ない。

「そんな劇団、組を応援するのはどうなの?」って葛藤しつつ「それでも宝塚が好き」だとか「頑張っているタカラジェンヌさんを応援したい」とモヤモヤする気持ちにフタをして、どうにか折り合いを付けて応援しているのではないかな?

何故、運営側は世間やファンの気持ちを逆撫でするような曲をぶっ込んできたのかな?

演出か誰か偉い人の思いつきかも知れないけれど止める人はいなかったのか? 「これは確実に炎上する」と事前に予想していた人もいたと思うのだ。「いくらなんでも、この曲は辞めておきましょう」と誰ひとりとして『海ゆかば』を止めることが出来なかったことは失態だったと思う。

「どうして事前に止められなかったのか?」と残念でならない。「変わらなきゃ」「改革しなきゃ」と口だけだったら誰にでも言える。四の五の言ってないで変わって欲しい。

【追記】東京公演から曲を差し替えることになったとになったとの発表がありました。→宝塚歌劇団公式HP

SS席から見えたもの

さて。私。今回は生まれて初めてSS席(6列目)で宝塚歌劇を観劇したのだけど、今回は今までの観劇とは別世界だった。SS席でしか得られないものがあまりにも多過ぎだった!

宝塚の感想ブログだの、Twitterの呟きなどを見ていると「◯◯さんと目があった」みたいなことを書いている人が多いのだけど、今までは「貴女がそう思うならそうなんでしょうね」くらいにしか思っていなかった…と言うか「目が合うとか思い込みでは?」と思っていたのだ。

だけど実際にSS席に座ってみて分かった。宝塚歌劇は舞台の上から客を視線で殺し(堕とし)にくるし、ガンガン視線を送ってくる。特にトップではなく3番手以下の人は観客を「狙い撃ち」くらいの勢いで視線で殺しにかかってくるのだ。

私も「目線くれた」と感じたし、周囲を観察していると「あ…いま、この人に目線送ったぁぁぁ! 堕ちたぁぁぁ!」って瞬間さえ分かるのだ。

宝塚歌劇の座席のお値段(2025年9月現在。料金改定の予定あり)はSS席で12500円。B席だと3500円。立ち見なら2000円とお値段格差がかなりある。だけどSS席は12500円以上の価値があると確信した。あの視線ガン飛ばし体験はSS席でなければ得られない。

「目線送って客を堕とす」が出来る人がいわゆる「色気のある人」なのだろうし、熱いファンがつくのだろうなぁ~と納得した。

そして宝塚歌劇のガチファンの人達が「芝居も好きだけどレビューの方が好き」と言うガチファンの人達の気持ちを初めて理解した気がする。

芝居だと役に入る必要があるので客席に目線を送れない時も多いのに対して、レビューは目線を送りやすい。男役の良さを堪能するのなら芝居よりもレビューの方が分かりやすいのかも。

今回の宙組公演はお芝居もレビューも「客席降り」があったのだけど、通路側に座っていた私。お芝居、レビューの両方でタカラジェンヌさんからハイタッチをしてもらうと言う僥倖。

実は私。不思議と通路側を引きやすい女のようで、通路側を引くのは宝塚を続けて観るようになって実に3回目。

3/8の確立で通路側に座っているのは、かなり高確率だと思うのだけど1回目は娘に通路を譲り、2回目は「人生初宝塚」と言うご近所の奥様に通路側を譲ったので、通路側でタカラジェンヌさんとのハイタッチは人生初体験。

「わぁ…わぁ…」と、ちいかわのように言葉を失ってしまっていた。もはや8番出口の「様子がオカシイおじさんの異変」くらいには様子のオカシイおばさんだった。

タカラジェンヌさんと目があった時…ハイタッチのときの私の心は53歳だけど確実に乙女だった。

ありがとう宝塚歌劇。ありがとうSS席をご用意してくれた宝塚友の会。

今回は今まで以上に感激して大満喫したけど、それでもまだ推しはいないし推しの組もありません。次は親友が当ててくれたチケットで雪組『ボー・ブランメル~美しすぎた男~』。フランク・ワイルドホーンが楽曲提供とのことで早くもワクワクが止まらない。

宝塚歌劇感想
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日記
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