新庄耕の作品を読むのはこれで3冊目。『地面師たち』はネットフリックスのドラマではやっていたのは知っていたけど、我が家はネットフリックス未加入なのでドラマは見ていない。
『地面師たち』の元となった事件(積水ハウス地面師詐欺事件)は覚えていたし、森功の書いたルポルタージュ本(地面師 他人の土地を売り飛ばす謎の詐欺集団)は読んでいて、なんとなく話の流れは知っていたので「わざわざ読まなくてもいいかな?」と思ってたのだけど、Audibleにあったので聞いてみた。
地面師たち
- 実際にあった地面師詐欺事件をモデルに書かれた地面師詐欺小説。
- ある事件で妻子を亡くした拓海は大物地面師・ハリソン山中のもとで不動産詐欺をしていた。
- ハリソン山中率いる地面師グループは市場価値100億円という前代未聞の物件に挑む中、定年間近の刑事・辰は彼らの動きを追うのだが…
感想
いやぁ~。めちゃくちゃ面白かった。これはドラマ化して流行るのも納得過ぎる。ネットフリックスのドラマがどれくらい原作に寄せていたのかは知らないけれど、原作は面白かった。
驚いたのは積水ハウスの地面師詐欺事件のルポルタージュを読んでいてもなお「面白い」と思ったこと。ふんわりした筋書きは想像できたのだけど、ルポルタージュと小説は全く別物なのだと思い知らされた。
ドラマティックな物語なのは事件自体がそうなのだけど、登場人物達の個性が際立っていて面白かった。私が特に気に入ったのは悪の親玉的な存在のハリソン山中。人として最悪だし極悪人過ぎて最高だった。どれくらい悪いかと言うと『メイドインアビス』のボンドルドくらい悪い。でも、なんだろうなぁ…極悪メーターをぶっちぎり過ぎてカッコイイ…と思ってしまった。
実生活では悪人には近づきたくないし、ハリソン山中のような極悪人は死刑になって欲しいとさえ思うのだけど、あくまでも創作の中だから楽しめると言うか、ホラー映画とか怖いもの満たさ的な欲求を満たしてくれたと言うか、なんとも言い難い楽しみ方をしてしまった。
ハリソン山中…最高に悪い…悪過ぎる。
『地面師たち』は詐欺事件を描いた作品と言うよりも、ノアール小説の色合いが濃いと思う。実際にあった事件に乗っかった流行り物の枠を越えて面白かった。『地面師たち』は続編や前日譚があるそうなので、気が向いたらそちらも履修したいと思っいてる。