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存在という名のダンス(上・下) 大崎善生 角川書店

「作者久しぶりの新作! しかも上下巻!」…と言うことで、ワクワクして手に取った。

そして面食らった。今までと作風が全く違う。大崎善生は純文学系の作品ばかり書いていた作家さんだったのに、この作品はファンタジーだった。

主人公の少年の旅を追っているので一応「ロードノベル」の枠に入るのだろうか。角川ホラー文庫に入っちゃいそうな作品。

なんと言うか……1人の作家さんを追う中で、これほどまでに驚かされたことは無かった。

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存在という名のダンス

  

厳しいルールと鉄条網で世間から隔離された施設で暮らしていた少年は、父危篤の情報を得て脱走、拮抗する悪の組織と対決することに――。

人間存在の根源を問う、著者渾身の壮大なるロードノベルファンタジー!

アマゾンより引用

感想

私はもともと大崎善生の書く世界や空気感が大好きなので、とても面白く読めたのだけど、その種の小説として出来が良いのかどうかは正直なところ、よく分からない。

エンターテイメントとしては、ちょっと色々と詰め込み過ぎな気もするし、第一こういうジャンルを求める読者に、純文学的なテーマを絡めても需要があるのかなぁ……と思ったりする。

しかしながら、個人的にここ数カ月「読書日照り」とでも言おうか、本のアタリに全く出会わなかった私には「もしかしたら、これは今年度最高の本かもしれない…」とさえ思ってしまったほど夢中で読みふけってしまった。

何が良かったって、テーマが良かった。

大崎善生が毎回のように描いている「大切な誰かとの繋がり」とか、今回ガッツリと取り組んだ「人間の根本にある悪意」とかを上手く描いているように思う。

私はまだ幼い主人公カップルに好感を持ったし、グダグダと必要以上のページ数を裂いて描いていた残虐なエピソードなど相当面白かった。

ただ、やはり気になる。クドイようだがもう1度書いてしまうほどに気になる。

「こういうジャンルを求める読者に、純文学的なテーマを絡めても需要があるのか?」ってこと。私個人としては「ものすごく面白かった」と思うのだけど、人にすすめるのは躊躇われるものがある。

それにしても私は作者の使うベタな言葉に弱すぎるなぁ…と改めて思った。

ものすごくありがちな表現なのに「暮らしている場所は今は別々だけれど、会おうと思えばいつでも会える。だってつながっているんだから」なんて台詞にキュンときてしまう。

しかも、この台詞は恋人間の物ではなく、父と子で交わされた会話だったと言うのに。

何がどう…って訳ではないのだけれど、ちょっとしたセリフや描き方が、なんだかんだ私好みだ。

人にすすめるのは躊躇われると書いたけれど、私にとっては、ここ最近の読書不振を一掃してくれるほどにグッっときた作品だった。

大崎善生の次の作品に期待したい。

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白い木蓮の花の下で
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