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柿の木。八朔の木。蜜柑の木。

夫の実家は大阪府内のニュータウンにある。広い庭には実の成る木が沢山植えられていて、義母は庭木の世話に忙しい。

義母は和歌山県の農家出身。畑仕事、庭仕事が根っから好きなのだと思う。野菜でも果物でも本当に上手に育てる事が出来るのだ。

夫の家の庭には柿の木が2本、八朔が1本、スモモが1本植えられていて、それらは義母の兄と、先に亡くなった義母の母(夫の祖母)が植えたらしい。

家族が多く、またご近所付き合いが盛んだった頃は庭で取れた果物も、それこそアッっと言う間に無くなったと思うのだけど、義父が亡くなり、子ども達が巣立ってから、義母は庭で取れた果物の扱いに苦慮している。

子ども達が持ち帰る事もあるけれど、それでも食べきれない時は庭に穴を掘って出来た果物を埋めてみたりするらしい。

2本ある柿のうち1本は渋のある平種柿。もう1本は富有柿。

平種柿は義母の母が富有柿と間違って植えたとの事。義母は毎年、平種柿を焼酎につけて渋を抜く。渋抜きをした平種柿は甘くて美味しいのだけど、アッっと言う間に熟してしまうのが玉にキズ。義母は自分の母親も亡くなった事だし、平種柿を切り倒してしまうつものだったらしい。

しかし、私と夫はそんな事情だったとは露知らず、毎年義母のくれる平種柿が、ご近所の人から「懐かしい味がする。美味しい」と喜ばれている……と言う話をした。

実際、富有柿はスーパーで買う事が出来るけれど「渋抜きをした柿」はスーパーに行っても買うことが出来ない。お年寄りには富有柿よりも、むしろ平種柿が喜ばれるのだ。

その話を聞いた義母は「そんなの今まで知らなかった。そんなに喜んでくれる人がいるなら、切り倒すのは止めるわ」と言い、その話の流れから「八朔の木が枯れそうなので、八朔が枯れたら蜜柑を植える」と言う計画を話してくれた。

この八朔。酸っぱ過ぎてお世辞にも美味しいとは言えない。

義母が言うには「大阪で育てるのは無理だったのよ」とのこと。この八朔は義母から大量に貰っても、酸っぱ過ぎてお裾分けする事が出来ず、毎年私達夫婦だけで頑張って食べている。なので八朔が無くなるのは大歓迎。

しかし夫と私は、その時は口に出しては言わなかったけれど、70歳を過ぎて義母がこれから蜜柑の木を植えようとしている事に驚いた。義母はまだ蜜柑を植えて、育てていこうという気力も体力もあるのだな……と。

現在、私は実母のことで何かと大変なのだけど、義母が元気でいてくれるのは本当にありがたい。

義母だっていつかは元気じゃなくなる日が来るのだろうけれど、もう少し元気で頑張ってもらって、義母の育てた蜜柑を食べさせてもらいたいな……と思う。

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日記
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白い木蓮の花の下で
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