『ブティック』はダイヤモンド社・集英社・文藝春秋・講談社の4社が池井戸潤による4つの作品を四つの季節に届ける企画『四社合同の池井戸潤プロジェクト2026』の中の1作目。『週刊ダイヤモンド』で連載されていたとのこと。
安心・安定の池井戸潤。何を書いても大ヒット間違いなしの池井戸潤。ドラマ化前提で作られた作品なのかなぁ。小説と言うよりもドラマを読んでいる気持ちになってしまった。
ブティック
- 東京中央銀行入行3年目の行員・雨宮秋都は、M&Aでの企業売却を考える取引先・ヤエスパワーの企業評価額を下方修正したM&Aアドバイザリー部次長・山吹豪たちの利益相反行為に対し、義憤から社内秘の評価資料をヤエスパワーに開示し訓告処分を受ける。
- 行員として評価を下げた秋都は辞職を考える中で、融資がおりず倒産すると諦めていた取引先のカフェ・コピ・ルアクがM&Aアドバイザリー会社・ランパス東京によってM&Aを成立させ存続したことを知る。
- 利益相反行為になるM&Aの仲介取引を一切行わないとするランパス東京の理念に共感した秋都は業界未経験ながらもランパス東京の求人に応募し、M&Aの世界で働くことになり……
感想
サクサク読めて面白かったのも本当なのだけど、なんかこぅ……ドラマを読まされている違和感を持ってしまった。池井戸潤は小説家と言うよりも脚本家とかドラマのプロデューサーに近いのかも知れない。
主人公サイドとライバルサイドが正義と悪にキッパリ別れていて、分かりやすく正義が勝つ勧善懲悪スタイル。主人公はイケメンでタイプの違う美女が2人登場する。小説を読んでいて脳内でドラマのキャスティングが浮かぶような作品だった。
話のテンポが良くて山あり谷あり暇を感じさせることのない物語の作り方は流石だと思ったのだけど、どうにも気になったのが「銀行とかM&A業界って守秘義務とか、コンプライアンスとか無いんですか?」ってところ。
そもそも主人公の雨宮秋都が銀行を退職するきっかけになった事案については「いやいや……それって社会人としてアウトな行為なのでは?」って領域だと思うのだけど、そうでもないのだろうか? 私は銀行で働いたことがないので銀行ルールを理解していないだけなのかも知れないけれど。
銀行員とかM&A斡旋会社で働く人達ってお洒落っぽい外食店でお酒飲んで仕事の話ガンガンしちゃう感じなの? ヤバイ情報が外部に漏れる対策とか気にしない系?
……分かっているのだ。もうこれは一種の時代劇なので「そこは突っ込まないお約束」があってこその物語だってこと。だけど、大人の読み物としてどうしても気になってしまった。漫画だったら気にならなかったと思うのだけど。
読んでいる時は先が気になって次々と読み進めてしまったけれど「小説としてどうでしたか?」と聞かれたら「う~ん。イマイチかな」としか言えない感じ。だけど、この作品はドラマ化すると思うので気になる方は読んでみても良いかと思う。


