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三匹のイワナと缶ビール。

先日、夫が帰宅しなかった。

……なんて書くと昼ドラ臭が漂うけれど我が家ではよくある事だ。夫は仕事柄、トラブルが発生すると帰宅出来ない事がある。

結婚した当初は「夫は寝ないで仕事をしてくれているのに先に寝ちゃっていいのかな」などと思っていたけれど、娘を産んでからは平気で先に寝るようになってしまった。むしろ「帰宅出来ないなら、もっと早く教えてくれたらいいのに」とさえ思う。

無駄に体力がありあまっている娘と暮らしていると「寝ないで待っている」なんて無理過ぎる。私は私で早く寝て、夫は帰宅してから寝れば良いのだ。そして週末に私と娘が2人で出掛けて夫には丸1日家でゆっくりしてもらうスタイル。

……とは言うものの、夫が四苦八苦しているのが分かっていて、自分1人でビールを開けるのは気が引ける。しかし先日は「帰れません」メールをもらった瞬間に、缶ビールを「プシッ」っとやっていた。

それが良い事だとは思っていないのだけど、夏休み中の娘と2人で過ごしていると週末にビールくらい飲まなきゃ、やっていられないと言うか。

まぁ……突き詰めて言うと「言い訳」なのだ。「疲れた」を理由に自分に負けた。

そして私はビールを片手に、松谷みよ子『龍の子太郎』の母親の事を思った。龍の子太郎の母親は自分1人で「三匹のイワナ」を食べた事により、龍になってしまう。1人で楽しむビールの味は三匹のイワナの味にも匹敵する。

龍の子太郎の母親は三匹のイワナを1人で食べてしまった時、お腹に龍の子太郎を宿していたから、空腹だって半端無かったと思う。仲間の分のイワナを食べてしまったのは褒められた事ではないけれど、だからって龍にされてしまうのは酷過ぎやしないだろうか?

『龍の子太郎』は名作だと思うのだけど、子ども時代から納得のいかない作品の1つだった。母親が龍になった理由もその1つだけれど、物語のオチもハッピーエンドではあるけれど、イマイチ納得のいかないもので「どうして、この作品が名作と呼ばれるのか?」と言うのは、子どもだった私にとって大きなテーマだった。

しかし大人になった今なら分かる。

世の中は理不尽と不公平に満ちている。理不尽や不公平は突然襲いかかってくるものであって、こちらの事情なんて配慮しちゃくれない。

『龍の子太郎』の場合は、とりあえずハッピーエンドに収まっているのだ。むしろ「細けぇこたぁ、いいんだよ」ってところだろう。

昔の日本人はストイックだった。貧しさがそうさせたのだと思うけれど、その思想が脈々と受け継がれているのは凄いと思う。私にはとても出来ない。1人で飲むビールは美味しいし、大人になって読む『龍の子太郎』は面白い。

龍の子太郎 松谷みよ子 講談社青い鳥文庫

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日記
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白い木蓮の花の下で
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