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森に眠る魚 角田光代 双葉文庫

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角田光代の作品を読むのは数年ぶり。一時期は平積みの定番作家…ってイメージが強かったけれど、ご無沙汰していた。

『森に眠る魚』は幼稚園ママ友界隈…特に小学校受験をテーマにした作品で、今までまったくノーチェックだった。興味を持てないテーマなので私のアンテナに引っ掛からなかったのだと思う。ふとしたキッカケで設定を知り「娘は今年大学受験。小学校受験とはノリが違うけど、参考になる部分があるかも知れないし読んでみるか」と手に取った。

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森に眠る魚

ザックリとこんな内容
  • 1999年に起きた「お受験殺人」とも呼ばれた文京区幼女殺人事件をモチーフにして書かれた小説
  • 物語の舞台は東京都内で文教地区と呼ばれる教育熱心な地域。
  • 境遇のことなる5人の女性がママ友として親しく付き合うのだが、小学校受験を前にして仲良しグループの関係性が変わっていく…

感想

和気あいあいとした楽しい雰囲気を漂わせて物語がはじまるのだけど「これ…絶対に怖くなるヤツ。もしくはめちゃくちゃ嫌な感じになるヤツ。いつ怖くなるんだろう?」とワクワクしながら読み進めていた。

「作り物の世界」として遠くから眺めるには面白かったものの、リアリティを感じることができなかった。母親…と言うか女同士の鍔迫り合いのような関係性などはよく分かるのだけど、文教地区と呼ばれる場所で暮らしている集団にしては母親の格差が凄いな~と。セレブ層と中間層とそれ以下の暮らしをしている人間仲良くする…なんてあり得るんだろうか?

昨今の風潮からすると、生活が苦しい過程は子育て中でも働きそうなものなんだけどなぁ。保育園に入れるかどうか問題があるので子どもを保育園に入れて働くのが無理でも、早朝パートとか内職的なこと、もしくはメルカリ(スマホのない時代設定なのだけどヤフオク等はあったはず)で荒稼ぎとか。

「お受験ママのギスギスした物語を書くぞ」という作者の意図が透けて見えるところが共興ざめだった。

途中までは楽しくワクワク読み進めていたけれど、物語をまとめていこうとするあたりから展開が雑なってしまったのは残念だった。驚きも感動もないまま無難にまとまってしまったな…って感じ。小説なのだから、もっとエキセントリックな展開でも良かったのかも。

それはそれとして。ママ友関係や子の受験でクレイジーになる母親って暇なんだな~と感心してしまった。仕事とか趣味とか介護とか他に熱中することがあれば、1つのことにそこまで執着しないで済むのにね。

家族や人間関係以外で個人的に情熱を注げること(仕事とか趣味とか)を見つける…って人間が快適に生活していく上で重要なことなのだと再確認した。

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