朝日新聞の書評で絶賛されていたらしく、巷で話題になっていたので読んでみた。家族がテーマの短編小説集。
私自身、結婚して母となり家庭を持つ身なので「ご家族ハートフル系なら外すことはないだろう」と期待して読んだのだけど、驚くほど大外れだった。個人的には壁本(読後、壁にぶつけたくなる本)としか言えない。
一応、体裁としては「涙なしには読めない系」に分類されると思うのだけど、どうにもこうにも合わなかった。
今回。全力でdisっていく感想になるので、そこんとこヨロシク!
家族の言い訳
- 「家族」がテーマの8編からなる短編集。
- 『ホタルの熱』『おかあちゃんの口紅』は入試問題にも採用されている
感想
家族がテーマの小説…との触れ込みだったので、家族関係の深いところを掘り下げるような話なんだろうなぁ~と期待して手に取ったのだけど、どの作品もビックリするほど、ありきたりな設定だった。
見栄と体裁に生きてきた専業主婦(元スチュワーデス)が夫が突然死したことで、夫との関係を考える話だったり、自営業者の夫と幸せに暮らしていたが、仕事が傾いたことで夫が蒸発してしまった妻の話とか「なんかどっかで聞いたことある設定だな」と三文小説感が凄かった。
なんかこぅ…読んでいて「しょせん主婦ってこんな考え方なんでしょ?」「女って浅はかな生き物ですよね?」みたいな考えが文章から透けて見えるようで不愉快だった。ちなみに私は登場人物の女性には誰ひとり心を寄せることができなかった。
「女を舐めるんじゃねぇよ!」って気持ちでいっぱい。
なんと言うのかな…マスコミがクローズアップしたそうな女性ばかりが出てくるな…思っていたのだけど、作者の経歴を知って納得した。作者は小説家ではなくて作詞家。として活躍した人らしく荻野目洋子『DanceBeatは夜明けまで』、田原俊彦、抱きしめてTONIGHT』、森川由香里『SHOWME』やSMAPのヒット曲などを手掛けていた。
どうりで! 考え方や物の見方がめちゃくちゃ古臭くて前時代的な訳ですよ!
頭の固い昭和のお父さん…バブルを駆け抜けたお父さんが書いた昭和なのだと思えば納得できる。もちろん同世代の男性を全方位的にディスるつもりはない。柔軟な考え方の男性だって多いはずなんだけど『家族の言い訳』の作者はそうじゃなかったよね…ってだけの話だ。
言いたいことは山程あるけど「朝日新聞の書評も大したことないな」ってことで、これ以上の暴言は書かないでおく。そして森浩美の作品はこれで打ち止めとする。