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幸せの黄色いカステラ。

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斜め向かいのお宅が挨拶も無しに引っ越ししてしまわれた。

斜め向かいのお宅はご町内では1番新しい住人だった。それまで住んでいた老夫婦が「もう年なので介護付サービス付きのマンションに引っ越します」と挨拶をして去っていかれた後に入ってこられた方でご夫婦とお子さん3人&犬2匹のご家族だった。

お付き合いが短かったこともあって「ものすごく仲良し」ってほどではなかったものの、それなりに交流はあったし和やかに世間話をすることもあったので挨拶も出来ずに去ってしまわれた事は正直寂しく思っていた。

ところが先日、斜め向かいに住んでいた奥さんが粗品を持ってやって来た。「本当なら引越し前にご挨拶するはずだったのですが色々あって出来なかったものですから」とのこと。引っ越しの理由は聞かなかったけれど「ご近所が嫌だった…とかではないです。むしろ良くして戴いて…」とのこと。

そして、誰かに盗られた息子さんの自転車を私が見つけた時のことを「あの時は…」と改めてお礼を口にされた。そして「お世話になりました」なんて話もされていた。そう言えばそんな事もあった。それほど親密ではなかった…とは言うものの、子どもがいると何かと色々あるものだ。

そして「今までお世話になりました」と可愛らしい包みを戴いた。

それはパンダのイラストが書かれたパッケージだった。中身はカステラだった。

そう言えばカステラって何年も食べていない。子どもの頃はせっかくの戴き物だから…とありがたく食べたのだけど、なんかこぅ…ビックリするほど美味しかった。

最近は凝ったスイーツが多くて、コンビニスイーツでさえ、なかなかのクオリティだったりする。何を食べても「そこそこ美味しい」って感じの物が多いのだけど、戴いたカステラは玉子と小麦粉と砂糖(蜂蜜)を使ったシンプルな味。だけど、そのシンプルな美味しさが五臓六腑に染み渡るようだった。

娘に「何かコレ…凄く美味しいよね?」と聞いてみたところ「私も同じこと思った。なんか元気が出る味って感じがする」娘。

昔、カステラは病気見舞いの定番品だったけれど「カステラ食べて元気を出してね」って発想は分からなくもない。実際は病室にカステラ1本持ってこらてれも困るし、だからこそカステラは病気見舞いの品としては廃れてしまったのだろうけど。

それはともかく。引っ越しの挨拶にカステラって気が利いているな」と感心した。5切のパックでカット済のカステラが入っているので量的にも多過ぎないし、カステラをカットする手間もいらない。

ふと「私が職場を辞める時は挨拶の時に配る品にコレを選ぶももアリかな?」なんて事を思ってしまった。それまでは「粗品的な物はやっぱり消え物よね。どうせなら貰っても困らなさそうな米がいいな」と考えていたのだけれど。

仕事を辞めると決めた訳でもないけれど、そういう発想に至ってしまうくらいには、ちょっぴり仕事に疲れている。

幸せの黄色いカステラを残してご町内から去ってしまった斜め向かいのご家族が新天地で幸せでありますにとカステラを食べながら思った。

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日記
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