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孤独な噴水 吉村昭 講談社文庫

小説の匠、仕事人、吉村昭らしからぬ、ベタベタした作品で好みでは無かった。

井上光晴を彷彿とさせる油ギッシュさで、吉村昭好きを自認する私でさえ「これはちょっと…」と思ってしまった。

ただ「切り口が吉村昭っぽくない」と言うだけで、好きな人はいると思う。

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孤独な噴水

玩具工場で働きながら着実にその頭角を現してゆく若いボクサーを翻弄するさまざまな不幸。病的な賭博癖のある狂暴な父親、家庭を捨て病いを得て戻ってくる母親、知能に障害を持つ姉、強奪される恋人―。そして弱小ジムに籍を置くボクサーとしての不運。この孤独な若者を待ち受けるものは。長篇小説。

アマゾンより引用

感想

主人公は若い新人ボクサー。ボクシングを軸にして、彼の家族や恋人との関係が描かれているのだが、いかんせん短い話にエピソードを詰め込み過ぎた感が否めない。

あれこれ詰め込んだが故に、全てのエピソードが薄くなってしまったように思う。

ネタバレで恐縮だが、恋人が強姦されるエピソードと、ラストで弟が父親を殺害するオチは必要無かったのではないかと思う。

父親が姉娘を犯している場面もいただけなかった。この長さの小説に、大きな犯罪をいくつも持ってくるのは、いかがなものか。

河童の川流れ……ではないけれど、吉村昭ほどの匠も判断を見誤ることがあるようだ。

この作品が好きになれなかったもう1つの理由は、私自身がボクシングに興味が無いからだと思う。

メジャーな格闘技ならボクシングよりも、プロレスの方がまだ好きだ。スポーツらしいと言うか、一種のショーとして安心して楽しめると言うか。

ボクシングというスポーツは、どうにも殺人技としてのイメージが強いのだ。好きな人には、そこのところが良いのだと思うのだけれど。

「ボクシングをする人=不幸な生い立ち」という、ベタベタな設定に、「いかにも」な感じの主人公。この作品を書いたのが、作者でなければ「へぇー」っと素通りできたのかも知れないけれど、期待した分だけガッカリ度も大きかった。

ちなみに私は、ボクシングが好きではないが『明日のジョー』はかなり好きだ。なのでボクシングネタだからNGって訳でもないと思う。

「がっかりした」のひと言に尽きる作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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