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映画『ハイジ アルプスの物語』感想。

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『ハイジ アルプスの物語』はヨハンナ・スピリ『アルプスの少女ハイジ』を原作とした実写映画。2015年の作品で公開時には地味に話題になっていたように記憶している。

『ハイジ』と言うと、日本人はどうしてもあの名作アニメを連想してしまいがちだし、私もその中の1人。

あの時期、放送されていた世界名作劇場シリーズのアニメのおかげで、日本人は『フランダースの犬』や『ハイジ』が大好きだけど、実のところろ『フランダースの犬』にしても『ハイジ』にしても世界で日本ほど愛されている国はないと言われている。

……と、すっかり本題から外れてしまったけれど『アルプスの少女ハイジ』自体は何度も実写映画化されているけれど、2015年版は『ヒトラー 最期の12日間』でヒトラーを演じたブルーノ・ガンツがハイジの祖父を演じている。

ヒトラーを演じた役者さんにおんじを演じさせるとか、なんかこう…凄い感じだ。

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ハイジ アルプスの物語

ハイジ アルプスの物語
Heidi
監督 アラン・グスポーナー(ドイツ語版)
脚本 ペトラ・フォルペ(ドイツ語版)
原作 ヨハンナ・シュピリ
(『アルプスの少女ハイジ』より)
製作 レト・シャールリ
ルーカス・ホビ
ウリ・プッツ(ドイツ語版)
ヤーコプ・クラウゼン(ドイツ語版)
出演者 アヌーク・シュテフェン(ドイツ語版)
ブルーノ・ガンツ
音楽 ニキ・ライザー(ドイツ語版)

あらすじ

『アルプスの少女ハイジ』は物語が頭の中に入っている方が多いと思うので、あらすじはザックリな感じでご紹介します。

母方の叔母のデーテに育てられたハイジは、デーテの仕事の都合でアルムの山小屋にひとりで住んでいる、おんじに預けられることになる。

ハイジはアルプスの壮大な自然の中でおんじやヤギ飼いの少年ペーター、ペーターのおばあさんなどの人々に囲まれて健やかに育っていく。

しかし、ハイジ8歳のある日。デーテが再び山を訪れ、ハイジをフランクフルトの貿易商、ゼーゼマン家に連れていくと言う。ハイジはデーテに騙さるようにしてフランクフルトへ向かう。

フランクフルトでハイジを待っていたのは足が不自由で体の弱い少女・クララとゼーゼマン家の人々だった。

クララの世話係のロッテンマイヤーはハイジを愛称でなく本名のアーデルハイドと呼び、厳しい躾や勉強をを強いる。

クララやゼーゼマン(クララの父)、おばあさま(クララの祖母)、クララの主治医、使用人のセバスチャンに囲まれて、ハイジはフランクフルトでの生活を送るが、心の中ではずっと山に帰りたいと思っていた。

やがてハイジは、アルムの故郷を思うあまりにホームシックにかかり、それによる夢遊病になってしまう。ハイジを診断したクララの主治医は、ただちにハイジをアルムへ帰す様に指示する。

山に帰ったハイジはクララに宛てて手紙を書く。そしてクララはハイジの暮らす山に来るのだが…

アニメーションそのままの映像に驚愕

世界名作劇場として放送され、その後も何度となく再放送をされてきた国民的アニメ『アルプスの少女ハイジ』は「チーズ美味しそう」とか「アルプスの生活楽しそう」と言うイメージを日本人の心に刷り込んでしまった訳だけど、実写映画『ハイジ アルプスの物語』で描かれていた世界は、日本人がイメージする『アルプスの少女ハイジ』の世界そのままだった。

当たり前だけど『アルプスの少女ハイジ』はヨハンナ・スピリの作品をアニメ化したものなので、実写映画がアニメに寄せたのではなく、アニメスタッフが現地ロケをしたり、資料を収集してアルプスの山の世界を再現している。

『アルプスの少女ハイジ』のスタッフ、凄過ぎぃぃぃ~!

もうね…BGVとして映像を流し観するだけでも価値があると思う。それくらい自然の映像が美しくて、素敵なのだ。

アルプスの風景もそうだけど、フランクフルトの街の描写やゼーゼマン家の様子などの再現度も凄い。「綺麗な映像を楽しむ」だけでも、観る価値のある作品だと思う。

配役がバッチリ過ぎぃぃ

素晴らしい原作を実写化する場合「みんなの脳内にあるイメージに合った役者さんを起用する」って事が重要になってくると思う。

ハイジの場合は登場人物の個性が強いので、比較的脳内イメージが統一されていると思うのだけど、それだけにガッチリ再現しいないとキツイものがある。

  • クララ
  • ロッテンマイヤーさん
  • ハイジ
  • おんじ

この4人については特に「絶対に外してはいけない登場人物」だと思うのだけど、全員『アルプスの少女ハイジ』の世界から出てきたのかと思うほど再現度が高った。

天真爛漫で可愛らしいハイジ。プラチナブロンドで「the美少女」って感んじのクララ。クールビューティーなロッテンマイヤーさん。

そしておんじ。『ヒトラー 最期の12日間』で総統閣下を演じたブルーノ・ガンツのおんじは、まさに「おんじ」そのままだった。

おんじは脱走兵の設定なのでガタイが良いし、脱走兵であるがゆえに、人を避けてひねくれ者として生きてきた人なので、ブルーノ・ガンツの容姿が意外とハマっていたのだ。もちろん『ヒトラー 最期の12日間』の時とメイクや衣装がぜんぜん違う…と言えばそれまでだけど頑固で偏屈な爺さん感が出ていて最高だった。

原作を丁寧になぞっていたけれど…

111分と言う短い作品なので原作のエピソードをすべて突っ込むのは無理なのだけど、かなり丁寧に物語をなぞっていたと思う。

ちなみに、私達が知っているアニメ版の『アルプスの少女ハイジ』はオリジナルのエピソードをふんだんに盛り込んでいる上に、日本人向けにカットしている部分が多い。例えばヨハンナ・スピリの原作版だと、宗教的なエピソードがかなり盛り込まれているのだけれど、アニメ版ではバッサリカットされている。

『ハイジ アルプスの物語』も宗教的エピソードは大きくカットされていた。このあたりは配給国に配慮したのかな…と思ったりする。

ただ、カットしたエピソードの中で私にはどうしても納得の出来ない部分があった。

クララってば、アルプスに来たとたん、リハビリ無しでいきなり立ってる!

クララのリハビリの部分は大胆にカットされていて、足に止まった蝶々に手を伸ばしたクララがいきなり立ち上がっているし、場面切り替わったところでは、ゼーゼマンめがけてスタスタ歩いている。

……1分でいいから、リハビリ場面を入れて欲しかった。削るところ他にもあったじゃない?

いきなりクララが立ち上がって面食らった部分を除けば、パーフェクトな脚本だった言っても過言ではない。

『ハイジ アルプスの物語』は、アニメ版のハイジが好きな方や、ブルーノ・ガンツの総統閣下が好きな人なら、そうとう楽しめるのではないかと思う。

クララがすぐに立っちゃうところに目をつぶれば、素晴らしい作品だと思う。

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