最近、本を読んでいて「ちょっと内容を詰め込み過ぎでは?」と思うことが多い。
特に巷で評判が良かった本を手に取った時にそう感じることが多いように思う。面白いと言えば面白いのだけとど、あれもこれもとよ欲張り過ぎてテーマが少しぼやけてしまって「ところで、結局のところ何が書きたかったの?」と思ってしまうような作品が増えているような気がする。もしかしたら、私がたまたまそういう本を手に取っているだけなのかも知れないけれど。
もしかしたら、これは昨今の流行なのかなぁ……と思ったりもする。
数年前、テレビドラマで「韓流」が流行ったことがある。ものすごく展開が早くて、矢継ぎ早に事件が起こり、見る者を飽きさせない作りが売りだったと思うのだけど、最近の小説の流行もそれに似ているような気がする。本という媒体がテレビや映画に近付いているからなのか、それとも本を読む人達が「じっくりと読む」のを厭うようになったからなのか。なんにせよ「1つのテーマをじっくりと堀り下げる」タイプの小説には滅多とお目にかかれない。
携帯小説の登場も「詰め込み過ぎ」の流れを作っているのかも知れない。私自身は携帯小説は読まないのだけど、聞くところによると「これでもか・これでもか」と不幸が押し寄せてくる物語が多いのだとか。1つの物語の中に「初恋・失恋・中絶・妊娠・自殺未遂・ドラッグ・不慮の事故・病気」などが、盛り沢山に詰め込まれていることも珍しくないらしい。
小説なんて、所詮作り物の世界なのだから、ドラマティックな展開はアリだと思う。しかし、それほど長い話でもないのに、あれもこれもと詰め込んでしまうと、1つのエピソードが薄くなってしまう。ドラマティックなものを描くのであれば、それに見合ったボリュームが必要なのではないかと思ったりする。
もっとも「内容を詰め込み過ぎる」のが本当に昨今の流行なのならば、流行が去る日だって来るかも知れない。「1つのテーマをじっくりと描く」タイプの小説が復権する可能性だって無いとは言い切れないのだ。最近、納得のいく作品に巡り合える率が減っていて、本を読むことに対する期待感が以前ほど無くなっている。
だが、しかし「最近の本はダメだ」なんて思いたくない。ただ、巡り合わせが悪いだけ。
また、そのうち「この本に出会うために私は本を読んできたんだ」と思えるほど、心を熱くする本と出会うこともあるだろう。最近の流行に食傷気味ではあるけれど、これもまた1つの通過点なのだと言い聞かせつつ、今後も不貞腐れることなく本を読んでいきたいと思う。