図書館で、この本の題名を目にした時、物知らずな私は「ガンビア」という言葉の響きから「アフリカとか南米とか動物が一杯いるような場所の旅行記に違いない。庄野潤三って、家族大好きなおじいちゃんだと思っていたけど、案外ワイルドだったんだ」と、自分勝手に思い込んでしまった。
ワイルドなエッセイを連想して借りてみたのだけど、ガンビアとは米国オハイオ州にある町だった。
動物は出てきたけれど、リスとかアライグマとか……って感じで、予想は大ハズレ。だが、なかなか良い作品だった。
ノックス郡(英: Knox County)は、アメリカ合衆国オハイオ州の中央部に位置する郡である。2
010年国勢調査での人口は60,921人であり、2000年の54,500人から11.8%増加した。郡庁所在地はマウントバーノン市(人口16,990人)であり、同郡で人口最大の都市でもある。
ノックス郡経済の大きな部分が農業に基づいており、2011年の農作物と家畜による年間現金収入額は1億1,000万米ドルに達した。トウモロコシが主要作物であり、これに大豆と家畜が続いている
Wikipediaより引用
ガンビア滞在記
昭和32年に庄野潤三が家族を連れて1年間留学したときのことが書かれたエッセイ集。
庄野潤三のエッセイというと、とかく「家族」の事ばかりで、いささか退屈な物が多いのだけど、この作品は若い頃の体験を綴っているせいか、周囲との人間関係がコミカルに描かれていてかなり楽しかった。
古き良きアメリカ……って感じ。
個人的な偏見なのだけど、私はアメリカという国に対して良い印象を持っていない。
粗雑で粗野な国……と思い込んでいる部分があったのだけど、こういう思い込みって良くないなぁ。住めば都と言うけれど、どこに住んだって、本人がその気になれば快適に暮らせるのだし、人間付き合いもなんとかやっていけるのだな……と。
もっとも、庄野潤三は留学生で、所謂ところインテリな人々に囲まれていたから、他国で暮らす……と言っても、ある種の温室だったとは思うのだけど。
しかしながら、よそのお宅の夕食に招かれたり、自分も友人を招いたり、夫婦で街の飲み屋さんに出かけたり……という生活の様子が楽しそうで、気持ちよく読むことが出来た。
庄野潤三は「毎日を楽しく過ごす」ことにかけては天才的だと思う。私もかくありたいなぁ……と思った1冊だった。