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臍の緒は妙薬 河野多惠子 新潮文庫

表題作を含む7編からなる短編集。

河野多恵子はもう80代後半のはずなのだけど、創作に対する貪欲さに感心させられた。

短編集と言っても、1つ1つの作品自体が短めで、文庫本にするとペラペラなのだけど、じっくりと読む価値のある1冊だと思う。

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臍の緒は妙薬

日中戦争が始まったころの尋常小学校の日常(『月光の曲』)。夫を亡くした女は、占星術師に何を観てもらうのか(『星辰』)。自ら創れば創り得る。と夫の留守が刺戟する(『魔』)。自分の臍の緒の包みは明けられていた。なぜ?いつ?(『臍の緒は妙薬』)。

アマゾンより引用

感想

それぞれの物語に関係性は無いのだけれど、明らかに毛色の違う1編以外は「妄執」がテーマになっているように思う。

河野多恵子はSMをテーマにした作品をたくさん書いている人だけど今回もなかなか面白かった。『秘事』や『半所有者』それに、この読書録には書いていないけれど『みいら採り猟奇譚』あたりは、似たようなテーマを追いながらも、それらは全て「性愛」に結びついていた。

今回の短編集は、あえて性愛の匂いを排除したところに注目したい。

もっとも「フェチズム自体、性愛の領域なのでは?」と突っ込まれてしまうと身も蓋もないのだけれど、この短編集の中で描かれた執着は、性愛の世界とはちょっと違う。

人として根本的なこと……好奇心とか、興味とかが行き過ぎた形だと思う。誰もが持っている好奇心や興味。

しかし、それって突き詰めてみれば相当罪深い存在なのではないだろうか。それは純粋であればあるほど厄介で性質が悪い。それは無邪気で残酷だ。だが、それが良い。

やっぱり、河野多惠子は良いなぁ……と改めて感じた短編集だった。ここ数年、追いかけるのを忘れていたのが不思議なくらい。

年齢を重ねてもなお執筆されていることに脱帽。往年を思えば力強さは落ちてきたかも知れないけれど、その鋭さは鈍っていない。これから改めて追いかけてみようと思う。

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白い木蓮の花の下で
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