町屋良平は第159回芥川賞候補作とのこと。
作者の作品は以前『青が破れる』を読んだ事があり、今回で2冊目。
先に書いておくけれど、残念ながら私は作者とは全く気が合わないのだと思う。
作品が悪いとは思わない。私はこの作品を読むには年を取り過ぎたのだ。
しき
主人公は母子家庭に育った高校生2年の男子。主人公は取り立てて特技もなく、反抗期もなかった。「主体性がない」と言われることがあるけれど、自分ではよく分からない…と言う設定。
そんな彼がユーチューブの動画を見て「自分も踊ってみたい」と独自でダンスの練習をはじめる。
主人公が感動した動画は実在するものとのこと。参考までに貼っておきます。
青春小説なのだけど、登場人物の誰一人として好感が持てなかった。
主人公は物語の中で恋をするのだけれど、主人公の恋の相手は何かにつけて「キモ」「ださ」と言う言葉を口にする。今の若者世代の言葉遣いなのだから仕方がないとは思うけれど「あなたは日本語が不自由なの? 馬鹿なの?」みたいな気持ちになってしまった。
これは完全にゼネレーションギャップってヤツなのだと思う。
子どもでもなく大人でもない微妙なお年頃の時に感じる焦りや苛立ちは上手く書けているように思う。
主人公達と同世代の人が読めば「そうそう。分かる~」と共感出来るのかも知れないけれど、私はこの作品に登場する人物の誰にも共感出来なかったし、誰1人好きになれなかった。
青春小説にしては小さくまとまっているのもどうかと思う。
何もかもが半径20メートルとスマホの世界で完結していて、退屈してしまった。
阿波おどりに情熱をかける子のエピソードや彼女を妊娠させてしまったニートの話なんかも盛り込まれているけれど、どれも主人公の横を通り過ぎていく感じでガッツリと物語に食い込んでこない。
現代の若者をリアルに描いていると思うのだけど、どうにも私には理解できない1冊だった。