宝塚歌劇、星組公演『RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Rama~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートラーマ~)』を観劇した。『RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Rama~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートラーマ~)』はインド映画の人気作『RRR』を宝塚歌劇に仕立てている。
私。若い頃からインド映画が大好き。もちろん『RRR』も履修している。宝塚歌劇『RRR』初演の時も「是非、観たい」とチケットを手に入れようとしたのだけど、当時はまだ宝塚歌劇のチケット入手の難しさを理解しておらず、チケットを手に入れることができなかった。
今回の公演はVpassチケットの貸切公演でご用意してもらったSS席。しかも幸運なことに2列目で観劇することができた。人生初のセンターブロック2列目。感慨もひとしおと言うものだ。
宝塚の感想を書く時は毎回書いているけれど私はヲタクで宝塚歌劇を愛しているものの、ガチガチの宝塚ファンではないのでヅカ用語は使いませんし愛称で呼んだりもしません。
スターは敬称略が礼儀…と考えているので「さん付け」表記はしませんのでご容赦ください。(もちろんご本人と対面で話をする機会があれば『さん』付けでお呼びします)
RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Rama~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートラーマ~

RRR
最初にお断りしておくけれど私は宝塚歌劇だけでなく映画好きでもある。インド映画については1995年に公開された『ムトゥ 踊るマハラジャ』あたりから注目していて、なんだかんだ追いかけている。もちろん『RRR』は劇場で観ている。
今回の感想は原作厨っぽい観点が入っている。
ちなみに前回、星組で公演された『RRR × TAKA”R”AZUKA』についてはチケットを確保することができなくて断念しているので前回公演と比べて云々…については触れることができない。
荒唐無稽インド映画の再現
私は先の公演を観ていないので「宝塚歌劇がどうやってインド映画を再現しているのか?」ってことに対して興味津々だった。インド映画は歌って踊ることが有名で「ナートゥダンス」などはインド映画が好きじゃなくても、ショート動画などの「踊ってみた」で目にしたことがある人も多いと思う。
ナートゥダンスの場面については、そもそもパーティーの場面なので宝塚歌劇と親和性が高いのだけど、インド映画はアクション要素が強い上に俳優さん達はマッチョ揃い。もはや「特撮作品なのでは?」くらいの勢いで人間には不可能な動きを映像化している。
「流石に宝塚歌劇で再現するのは無理なのでは?」と思っていたのだけど初手から頭をかち割られてしまった。
実のところ観劇前から情報を仕入れていて「ワイヤーアクションがある」と聞いていたのだけど予想以上だった。あれは…ワイヤーアクションなどではない。強いて言うなら人力小型クレーン(または高所作業車)ってところ。
のっけからスターが飛んでくるのだから驚いたよね。飛び回りながら歌うわ踊るわ。視界に人外の世界が飛び込んできた。
しかもその人力小型クレーンを操るのは裏方スタッフではなく「役」として配置されたタカラジェンヌ達。タカラジェンヌが高所作業車のような装置を操作しながら演技していて宝塚歌劇の凄みを感じた。
そしてクレーンで吊り下げられて歌って踊るだなんて超人過ぎる。そもそも足の踏ん張りが効かない状態での発声は難しいと思うのだ。さらに演技しろだなんて。
そこまでやるか…そこまでやるのか宝塚歌劇!
ファンサ(ファンサービス)大盤振る舞い!
さて。前回観劇した雪組の『ポーの一族』では客席降りの演出がなくて「じっくり芝居を楽しむ」って感じの演出だったけれど、今回の『RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Rama~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートラーマ~)』は客席降りしまくり&ファンサ多め……大盤振る舞いって感じだった。
そもそもインド映画がインドで上映される場合、観客はスクリーンを観ながら歌ったり踊ったりするとのこと。映画は「観客参加型」が当たり前らしいので、舞台でも観客を巻き込んで作り上げるスタイルは合っていると思う。
魚釣り少年
『RRR』でビームとラーマは燃え盛る炎の中から魚釣りの少年を救出する場面で初めて出会う。2人は何故か前世から通じ合っていたかのように息の合った動きでもって少年を救出するのだけど、この魚釣り少年の場面がなかなかの大サービスだった。
魚釣り少年(アルジュン)は早瀬まほろが演じている。銀橋のど真ん中で客席に向かって釣り糸を垂らすのだけど、魚ではなく女心を釣り上げていた。もうアルジュンと目の合った観客達の表情と言ったら見てられなかったよね!
アルジュンは驚くほどの大量のファンを釣り上げたと思われる。
なおアルジュンが魚釣りをしている最中、客席の1列目通路には炎の精が押し寄せてくるからたまったものではない。前の方の席で見ている人間は「もう、どこを見たら良いのか分からない」。
情報量が多過ぎて脳の処理が追いつかない状態だった。
ラーマ捜索隊
怒涛のファンサービスは続く。ラーマ一味の逃亡を追うイギリス警察は客席までやってくる。人相書きを手に観客に絡む念の入れっり。私の場合は貸切公演だったのでアドリブで「三井住友ビザカード」ネタを入れていたけど、アドリブは公演回によって変わると思う。
絡んでもらった観客はおめでとうございます。最高の経験だったと思われます。タカラジェンヌさんから手渡された人相書きは家宝になることと存じます。
そして。ラーマと共に逃げていた仲間達は銀橋から客席へ降りる階段の影に身を潜めるのだけど、私のすぐそこにはペッダイヤ(碧音斗和)がやってきた。
めちゃくちゃ整った顔面の足の長い美しい生き物が、長い足を折りたたんで体育座り的な感じで「シーッ。かくまって」と目線とゼスチャーで語りかけてくるくるのは反則過ぎだった。
エッタラ・ジェンダでの客席降り
大団円を迎えてフィナーレの客席降りも圧巻だった。
映画版『RRR』でもエンディングは総出演で踊りまくるのだけど、星組も「エッタラ・ジェンダ」で大人数の客席降り。そもそも「エッタラ・ジェンダ」自体、ノリの良い名曲なので聞いているだけでもワクワクするのに、美しいタカラジェンヌさんが大人数で押し寄せるのだからたまったものではない。
そして2階席にもタカラジェンヌさんはやってくるので2階席の方々も油断禁物。イギリス軍チームが大挙する。もう会場全体が熱気に包まれて大変な盛り上がりだった。
良い匂いがしました……あれはお花畑を通り越して極楽浄土気分。この世の楽土は宝塚大劇場にあったのだ。
役者も素晴らしかったのですよ
客席降りの大サービスのことばかり書いているけれど、役者も素晴らしかった!
まずは主人公のラーマ。『RRR』はダブル主人公…とは言うものの、元の映画がビーム主体で作られているので役どころ的には圧倒的にビームの方がオイシイのだけど、そこはトップ男役。圧倒的主人公だった。
ラーマはインテリ苦悩系の色男なのだけど、苦悩系ヒーローを見事に演じきってくれていた。ナートゥダンスの場面では、わざとビームに勝ちを譲るのだけど愛しそうにビームを見上げる視線は胸キュンだったし、ビームを鞭打つ時に見せる苦悩の表情の色気と言ったら無かった。
そしてビームを演じた瑠風輝も素晴らしかった。とにかくビームが可愛いのだ。飼い主を慕う大型犬のようにラーマが大好きで尻尾がビュンビュン振れているって感じ! 兄貴を慕う一途で可愛い弟。いちいち…いちいち可愛くてたまらなかった。ビームはハマり役だったと思う。
さて。私は娘役スキーを公言して憚らないのだけど『RRR』は娘役的にはちょっと残念な公演だったと思う。そもそも本家の映画自体、女性の役回りは空気…って感じで「いちおう華やぎも必要なので出しておきました」くらい物語に絡んでこない。
トップ娘役は主人公ラーマの婚約者設定なのに、あまりにも出番がなさ過ぎて「概念」としてあちこちで登場。とっても可愛らしい娘役さんなので、個人的にはもう少しトップと絡ませてあげたかったな。
インドへのリスペクト
さて。今回の公演はお芝居1本物でショーがない。その分、お約束の「ぷちレビュー」のようなものがあって、ロケット(ラインダンス)もあったのだけど、ロケットの曲はナートゥダンスだった。ナートゥダンスは『RRR』の目玉とも言える曲なのでロケットで使うのは相応しいと思う。
感心したのは衣装の色。インド国旗の色を取り入れた衣装だった。
そもそも映画の『RRR』はイギリスから独立しようと戦っているインド人達の物語。インド人が自国を取り戻して自分達の誇りを守る物語でもある。そんな舞台の最後に国旗を持ってくるのはインドへのリスペクト…って感じがして好ましく思った。
ミュージカルとしての出来が良い!
2026年の宝塚歌劇は『ポーの一族』『RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Rama~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートラーマ~)』『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』と大作続き。3連発を知った時は「お芝居1本物を3作続けて出すなんて宝塚歌劇も強気だなぁ」と驚いたと同時に「チケット確保が難しいな」とも思っていた。
実際、この3作はチケットの確保が難しく、次に控える『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』は最難関と言われている。
3作とも大作には違いないのだけど「ミュージカルとしての出来の良さ」と言う意味では『RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Rama~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートラーマ~)』が1番かも知れない。
特に「原作映画をリスペクトしつつ新しいことに挑戦している」というところを評価したい。
今回は前回の公演では行わなかった「ラーマとビームの最強の肩車の場面」をも再現していた。肩車の上のラーマが二丁拳銃で後ろの敵にをぶっ放す場面は流石に無理だろうと思っていたので驚いたのなんのって。暁千星の背筋&腹筋はどうなってるのよ? ちなみに、この場面でも最初に説明した人力クレーンが使われていた。
荒唐無稽なインド映画を可能な限り舞台に落とし込んでいた。宝塚歌劇は他の作品についても原作リスペクトの姿勢があると言われることが多いけれど、インド映画好きの方も納得して戴ける仕上がりだと思う。
娘が恋堕ちた
今回の公演は毎回、共に観劇している友が入院中だったため、代打で私の娘を連れて行くことになった。娘も1度宝塚歌劇は観ているのだけど、その時は「面白かった」と楽しんだもののハマることはなかった。ところが……今回、娘が恋に堕ちてしまった。
観劇前に「2列目だったらオペラグラスはいらないでしょ?」と言うので「いやいや。いちおう持っておきなさい。もしかしたらオペラグラスを使いたくなるかも知れないから」と、オペラグラスを渡していたのだけど、開幕して初手からオペラグラスを使い始めて驚いた。
娘は3番手の天飛華音にやられてしまったらしい。
- 最初に見た瞬間から「素敵だなぁ」って思った!
- 途中からずっと追いかけていた
……とのこと。
公演後「お母さん、私ちょっと買い物したいので待っててください」とキャトルレーヴに突撃。ブロマイドを買ってくる始末。さらに言うなら自力でリセールでB席のチケットを手に入れている。「もう1度観たい」とのこと。まさかここまでハマってしまうとは予想外だった。
娘が幼児だった頃………主催企業ご招待の超良席でディズニー・オン・アイス『アナと雪の女王』を観せた後「来年も行こうか?」との問いに「1回観たから、もういいや」と言い放ったあの日のことを思えば、彼女が宝塚歌劇を余すことなく楽しむようになっただなんて信じられない。
リセールでのチケットの取り方のコツを伝授したのは私だけど、そんなアッサリ取れてしまうだなんて、これもまた運命なのかも知れないな……なんてことを思った。
次は花組・エリザベート
残念ながら今回も私は特定のタカラジェンヌさんに恋に堕ちることはなかった。私もアクスタ買ったり、ぬいぐるみ買ったりして推し活したいのに。
次の観劇は花組『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』の予定。宝塚友の会でご用意してもらったS+席。そして友が阪急交通社でGETした別日のランチ付きS+席。
『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』はチケットの確保が困難な公演なのでチケットを確保できただけでも幸運とは言うものの、私は欲の皮の突っ張ったヲタクなので「1列でも前の席でエリザベートを観たい」という欲望を捨て切れずにいる。
もし東京の友の会抽選で良席が確保できたら遠征するし、公演期間中はリセールで良席を狙ってしまうかも知れない。もしかしたら私の人生で最後に観る『エリザベート』かも知れないのだ。私、54歳。10年後も元気で生きている保証なんて無いのだ。
宝塚歌劇の中でも『ベルサイユのばら』と『エリザベート』は別格。ヲタク、ネバーギブアップ。最後まで決して諦めない。
- 宝塚歌劇『ポーの一族』感想。
- 宝塚歌劇『黒蜥蜴』『Diamond IMPULSE(ダイヤモンド インパルス)』感想。
- 宝塚歌劇『RYOFU』『水晶宮殿(クリスタルパレス)』感想。
- 宝塚歌劇『蒼月抄』 『EL DESEO』感想。
- 宝塚歌劇『雨にじむ渤海(パレ)』感想。
- 宝塚歌劇『恋する天動説』『dynamic-nova』感想。
- 宝塚歌劇『ボー・ブランメル~美しすぎた男~』『Prayer~祈り~』感想。
- 宝塚歌劇『PRINCE OF LEGEND』『BAYSIDE STAR』感想。
- 宝塚歌劇『GUYS AND DOLL』感想。
- 宝塚歌劇『悪魔城ドラキュラ』『愛, Love Revue!』感想。
- 宝塚歌劇『阿修羅城の瞳』『エスペラント!』感想。
- 宝塚歌劇『ROBIN THE HERO』『オーヴァチュア!』感想。
- 宝塚歌劇『宝塚110年の恋のうた』『Razzle Dazzle(ラズル ダズル)』感想。
- 宝塚歌劇『記憶にございません!』『Tiara Azul -Destino-』感想。
- ベルサイユのばら(フェルゼン編)2024年雪組公演感想。
- 高1娘。初めての宝塚。ライラックの夢路&ジュエル・ド・パリ!!。
- 宝塚歌劇『巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~』感想。
- 原作ファンのための宝塚『ポーの一族』感想。


