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-196℃のゆりかご 藤ノ木 優 小学館

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私。「現役医師でありながら小説家」って肩書に弱い。たぶん久坂部羊が原因なのだと思う。古くは森鴎外もそうだし、海堂尊もそうだ。『-196℃のゆりかご』の作者も現役の医師。

『-196℃のゆりかご』は生殖補助医療(不妊治療)がテーマと聞いていて、巷の評判も良さそうだったので読んでみたのだけど、個人的にはどうしようもないレベルでの壁本(読後、壁にぶつけたくなる本)だった。

今回、猛烈にdisり気味の感想になる上に、ネタバレ前回なのでネタバレNGの方や藤ノ木 優がお好きな方はご遠慮ください。

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-196℃のゆりかご

ザックリとこんな内容
  • 幼い頃に父と母を亡くした明日見つむぎは母方の親戚である奈緒に引き取られた。
  • 奈緒は心に不調を抱えながらも「義母」としてつむぎを懸命に育てる一方、心の距離を取ることにはこだわり、「母」と呼ばれることをかたくなに拒んでいた。
  • ある日、つむぎの元に病院から奈緒が倒れたと連絡が入る。持病の子宮腺筋症が悪化し、大量に出血したのだという。
  • 病院に駆けつけたつむぎはそこで医師から奈緒の病状だけでなく奈緒がつむぎの実の母親であると知らされた。

感想

『-196℃のゆりかご』の作者である藤ノ木優は現役医師とのことだけど物語自体は倫理的にアウトとしか思えない内容だった。正直、どうして巷で絶賛されているのか私には全く理解できない。

体外受精とか不妊治療云々の是非とか言うレベルじゃなかったんだけど、この設定…絶賛している人達は気にならなかったんだろうか?

主人公の明日見つむぎは義母に育てられている…と思っていたが、実は義母ではなく母だった…と言う話。しかも、いきなりネタバレさせてもらうと遺伝子的には母ではなく姉だった…と言うオチ。いくらなんでも酷過ぎる。

流れから説明するとこうなる。不妊治療をしていた夫婦がいた。夫婦は凍結した受精卵を持っていたけど、妻の体内に受精卵を入れる前にに夫は脳死状態になる。妻は夫の同意なく子どもを出産する(この子どもがつむぎの母の奈緒)

奈緒は母と暮らしていたけれど母の死亡により1人ぼっちに。養父から性的虐待を受けたことでPTSDを発症。色々あって両親が残した卵を使って出産を希望。医師はそれを受け入れて施術し、つむぎを出産。母(奈緒)も娘(つむぎ)も遺伝子的には同じ両親の子どもだった。要するに遺伝子的に言うと姉が妹を生んでいた…ってオチ。

おいおいおいおい。そりゃないわ。それを美談にするとかどうなの?

多くの人に不妊治療とか体外受精について知って欲しい…と言う意図は理解できる。実際、作品を読んでみて私自身、不妊治療に対する捉え方が変化した。だけど、自分にとって兄弟である子を自分のお腹で育てて出産する…とか、倫理的に受け入れ難い。

倫理的なところも「ないわ~」と思ったけれど、奈緒を精神疾患の設定にしていたのも「それってどうなの?」と思った。

主人公であるつむぎは明らかにヤングケアラー状態だった。奈緒は家事等していたものの、精神的な部分でつむぎは完全にヤングケアラーで「奈緒のような母親と2人で生きていくのは大変だったよね」と同情せずにはいられなかった。

なんか良い感じに終わっていたけど「無いわぁ~」「私には無理だわ~」と言う感想しか出てこなかった。どうして、この作品がアリとされるのか?私にはまったく理解できなかった。

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