本の整理をしていたら本棚の奥から懐かしい本が固まって出てきたのだが、これもその中の1冊。
『ウィンダリア 童話めいた戦史』は同名のアニメ映画のノベル版で、読んだのは中学生だったか、高校生だったかの頃。
31歳の今となっては懐かしい感じ。アニメ映画のノベル版なのでジュニア小説のノリで書かれているので、中身はやや薄っぺらい。
それでも、その当時は随分とドキドキして読んだものだ。
ウィンダリア 童話めいた戦史
世界樹のごとく空高くウィンダリアの巨木そびえるサキの村を中心に、イサとパロの都市国家があった。一方は海に面し、もう一方は険しい山にあった。
そして、この二つの国が、とうとう戦火を交えるときがきてしまった!
はたしてサキの村に住む夫婦、イズーとマリーンの運命は?そしてパロの王子ジルと、イサの王女アーナスの恋の行方は?
二組の男女の織りなす愛を中心に描かれる華麗なるファンタジーの世界!
藤川桂介、いのまたむつみキャラクターの名コンビによるアニメ大作の原作。
アマゾンより引用
感想
作品のテーマは「約束」。
ファンタジー世界を舞台に2組の恋人(1組は夫婦なのだが)達を中心にした物語になっている。うち1組は王子様&王女様で『ロミオとジュリエット』ときたもんだ。アニメか舞台でなければ、ついていけない世界である。
もう1組は、今は昔のフォークソングに登場しそうなカップルで「いかにも」な設定が山盛りである。
今の私ならとても読めないけれど、その当時は面白く読んでいたのだ。年を重ねると物の見方や感性は随分と変わってくるようだ。
年を重ねたからって変わらずにいる部分だってある。だが、この作品はダメだったのだなぁ。
主人公の恋人たちが自分の生命を粗末にし過ぎるあたりが。約束を守るのも結構。恋に溺れるのも結構。
しかし。なんだ。「死んで花実が咲くものか」と思わずにはいられないのだ。
もちろん、時には「どうしようもない場合」ってのもあるだろうけれど、この作品の場合は、やり方しだいでは活路を見い出せたのではないかと思われるだけに、ご都合主義のジュニア小説の息を出ていない印象を受けた。
文句ばかり書いているが、だからって、この作品が嫌いになった訳はない。
アニメで観たら今でも好きだと思う。アニメの場合は映像と音楽が付いてくるので、言葉の足りない部分を補ってくれるから。結局のところ、この作品は「アニメ」のものなのだろう。
私は、年がら年中、本の置き場所に頭を悩ませているのだけれど、それでもこの作品は手放さないような気がする。
ちなみにアニメの小説版は『六神合体ゴッドマーズ』とか『ムーの白鯨』とか『サイボーグ009 銀河超伝説』も持っている。
遠藤周作文学全集が手放せないのと同じレベルで、こいつ達手放すことはできないのだ。
しょせん本好き……しょせんヲタクってことなのだと思う。