娘が2年間通った体操教室に退会届を提出してきました。
円満退会です。
娘の口から「体操辞めます」と伝えた時は猛烈に引き止められましたが、先生も予想外のことに「まさか?嘘だろ?」と言う気持ちが大きかったのだと思います。
一晩経って、経緯を説明したところ気持ち良く退会届を受け取ってもらえました。
現役の体操指導者から聞いた話
体操を習っているお子さんの中には娘のように「体操大好きで、そこそこ上手だけど選手にはなれない」って子がたくんさいるかと思います。
老舗体操教室の場合、保護者同士の繋がりで周囲の人に相談したり情報を聞いたり出来るかと思うのですが、体操教室の規模が小さかったり新設の教室だったりすと保護者は何の情報もない中で体操と向き合うことになります。
私の場合、インターネットで鬼ほど検索しましたが、情報が断片的だったりガチ選手コース向けの話しか出てこなくて苦労しました。
今回は体操の先生に聞いた事を記しておきます。
「腹を割って話そう」ではありませんが、体操を辞めるにあたって先生から直接色々な話を聞く事が出来ました。
子どもに体操を習わせている保護者の方が知りたい話じゃないか思います。
以下の文章は「選手コースに声が掛からないけれど体操が大好きなお子さん」を想定して書いています。
ここで書いている内容が全て正しいとは言えませんが、体操を習っている子を持つ保護者の方のお役に立てれば幸いです。
チェーン展開している体操教室について
娘はチェーン展開している体操教室の新設校で体操を習っていました。
チェーン展開している体操教室の場合、どれだけ名前が通っているクラブでも教室によって場所によって指導も方針も違ってきます。
娘は選手コースではなかったのですが、ちょっとした大会には声がかかるレベルだったため大会前には本部校の強化練習等に参加していました。
しかし、本部校での扱いは完全にアウェイでキッチリ指導を受け事が出来ませんでした。
「やっぱり普段から指導してる子ばかりに目がいくのは仕方がないのかな」とは思いましたが、親として内心で「同じ金額払ってコレかよ?」と言う気持ちもありました。
娘が体操を辞める決断をしたのは「頑張っても未来がない」と言うところが理由です。
「じゃあ、もっと頑張って自分で未来を切り開けばいいじゃない?」って話ですが、そもそも頑張れる環境が無いんですよね。
その事について先生に言ってみたところ「チェーン展開しているしてる体操教室の場合、本部校以外はアウェイ扱いになってしまうのは大きな課題なんです」とのことでした。
「本部校以外は外様大名扱い」って言うところは体操界ではあるある案件のようです。
全ての体操クラブに当てはまる訳ではありませんが、まったく白紙の状態で我が子に体操を習わせようと思うなら、本部校でスタートする方が有利だと思います。
選手を育てるにはお金がかかる
体操の先生によると「育成コースで頑張っているけれど選手には声が掛からない」って子はどの体操クラブにも溢れている状況です。
先生達も「出来れば選手コースに上げてあげたい」と思っているようですが「選手を育てるのは赤字にしかならないから沢山取れない」のが現状です。
娘の通っている体操教室の場合、選手コースは「小学校入学までの子」か良くて「小学校低学年」の子にしか声が掛かりません。
小学生中学年以降になって、あっさりバク転だの車輪だのが出来てグイグイ成長したとしても体操教室的には「頑張っている子」でしかないないのです。
体操クラブの状況にもよるので「絶対に無理」とまて言い切る事は出来ませんが、小学校中学年以降で選手コースに声が掛からない場合は「選手コースに入るのは無理」と諦めた方が良いかも知れません。
体操は早くにはじめた者勝ち
体操は中学校の部活からスタートする子も沢山います。
「遅くから本格的にはじめても充分やれるかどうか?」について先生とお話しましたが「大きくなってから体操をはじめた子は小さい頃から体操をやっている子には勝てない説」はどうやらガチみたいです。
ただ、中学校以降でスタートしても「そこそこ、いいところ」まで行く事は可能との事でした。
体操と言う競技とどう向き合うか、目標をどこに持ってくるかによって変わってくるので「大きくなってから体操をはじめるのは未来がない」とまでは言いませんが、キラキラした大きな大会に出て活躍するのは相当難しいかと思います。
残酷な話ですが「体操のスタートは早ければ早いほど良い」って事です。
選手コースに入れない子は駄目なのか?
私が子どもに体操を習わせてみて感じたのは「体操は選手コースと一般コースとでは全く入り口が別」ってことです。
選手コースの子達は一般コースの子と違って指導も扱いも最初から違います。
「じゃあ、選手コースに入れないなら辞めた方がいいんじゃね?」って話ですよね。
ですが実際は選手コースに入っても脱落する子は沢山いますし、選手コースの子が大会に出たとしても、一緒に出場した一般コースの子にサクッと順位を抜かれたりもします。
一般コースの子でも大学まで体操を続けて体操の世界で行きていく事は可能です。
実際、娘の先生が指導していたお子さん達の中には、一般コースから体操の名門大学に入った子もいるそうです。
ただし選手コースと一般コースでは扱いが違うので選手コースに入れない子が体操を続けていくことは精神的にキツイと思っておいた方が良さそうです。
「その子の体操がどのタイミングで花開くのかは正直指導者にも分からないんです」との事でした。
一般コースとは言え、そこまでブッチギリたいなら本人の資質と努力、親のサポートが必須ですが、やってやれない事はなさそうです。
体操クラブの移籍について
娘の場合、体操を辞めるキッカケは「本部校に行っても未来がなさそうなので行きたくありません」ってところでした。
娘は「楽しい体操」ではなく「順位を競う体操」を求めていて上に行ける練習が出来ないなら、やりたくなかったんです。
「本部に行っても未来がない」と言う話にって事については先生も苦笑いでした。そして「じゃあ、しっかり指導してくれるクラブに移籍しませんか?」との話をしてくれました。
実は私もクラブの移籍については事前に鬼ほど調べていたんですよね。
体操クラブの移籍って想像以上に難しいんです。
そこそこしっかり指導してくれる体操クラブの場合、どこも育成枠は満員御礼。他所のクラブの子を引き受ける枠はないところが多いようです。
それに加えて「他所のクラブの癖のついた子は指導したくない」とか「クラブ間の大人の事情」もあったりするので、そう簡単にはいきません。
先生から移籍の話が出た時は「体操に引き止めたいから言ってるんだよね。移籍なんて出来っこないのに適当な事を言って…」みたいな気持ちになってしまったので「クラブの移籍って、微妙な実力の子は無理なんじゃないですか?」とストレートに聞いてみました。
「実際、クラブの移籍は難しいです。移籍の子は受け入れくれないクラブもあります。でも、もし希望されるなら僕が個人的に恩師のクラブに受けて入れてくれるかどうか聞いてみます」との返事が返ってきました。
先生がそこまで考えてくれていたとは思ってもいなかったので「意地悪な事を言ってスマンかった」って気持ちで一杯になってしまいました。
ある程度の体操経験を積んだ子がクラブを移籍するとなると明確な理由「転勤先でも体操したい」とか「体操クラブが潰れてしまった」が無ければ、難しい…と言うのはインターネット情報の通りでした。
小さいお子さんの場合は違うもか知れませんが、育成枠レベルのお子さんの場合、小学校中学年以上になって「もっと良い体操クラブがあるんじゃないか?」と思ったとしても、門前払いされる可能性あります。
クラブの方針によっては「どんなお子さんでもオールウェルカム」なところもあるのも事実ですが「この塾合わないから、他の塾に変えるわ」くらいのカジュアルな感じで他の体操クラブに移るのは難しいと覚悟してください。
体操を続けることの難しさ
娘が体操を辞めるにあたって先生は「僕は体操が好きなんです。だからこんなに体操を大好きな子が体操を辞めるのは正直辛いし残念過ぎる」と話てくれました。
それと同時に娘が「明るい未来を描けない場所に突っ込んでいく事は出来ない」と体操を諦める気持ちも理解してくれました。
残念ですが体操はまだまだマイナー競技です。
門戸も狭ければ「思い切り体操の練習がしたい」と思っていても、環境が無ければ出来ないんですよね。
今の日本の体操は本人の素質と努力だけではどうにもらなないのが現状です。
- お金
- 環境
- 親のサポート
どれが欠けても体操を続けていく事が出来ません。
娘は体操をリタイアしますが、体操が好きな子が体操を続けているような体制が出来ることを願っています。
体操に取り組む子達の未来が明るいものでありますように!
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