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悪夢のエレベーター 木下半太 幻冬舎文庫

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推理物やサスペンス物は基本的に興味が無いので読まないのだけれど、知人から「うっかり同じ本を2冊買っちゃったからあげる」と戴いたので、ありがたく読ませてもらった。

緊急停止したエレベーターに人が閉じ込められる話で、コメディサスペンスだった。

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悪夢のエレベーター

後頭部の強烈な痛みで目を覚ますと、緊急停止したエレベーターに、ヤクザ、オカマ、自殺願望の女と閉じ込められていた。

浮気相手の部屋から出てきたばかりなのに大ピンチ!?しかも、三人には犯罪歴があることまで発覚。

精神的に追い詰められた密室で、ついに事件が起こる。意外な黒幕は誰だ?笑いと恐怖に満ちた傑作コメディサスペンス。

アマゾンより引用

感想

コメディサスペンスと銘打つだけあって、文章はかなり軽い。推理物が苦手な私にもスルスルと読めた。

登場人物はヤクザ、オカマ、自殺願望のある女性、産気づいた妻の元へ駆けつけたい男性…とバラエティに富んでいる。

密室で、バラエティに富んだ人間達が繰り広げる人間模様って、なんだか舞台向けの作品だなぁ……と思っていたら、あとがき読んで知ったのだけど作者の本業は劇作家だった。なるほど納得。

セリフの掛け合いが面白くて、その辺は「流石は劇作家が書いただけある」と思ったのだけど、それ以外に面白いと思えるところが無かった。

パニック物でもなければ、コメディにしては笑えない。推理するほどの作品でもないし、どっちつかずの印象。

芸達者な役者さんが、それぞれのキャラクターを演じて見せてくれたら、それなりに面白いとは思うのだけど。

これは私の偏見かもしれないけれど、昨今の小説は同性愛者と自殺願望者をやたら出したがる傾向にあるような気がする。

それらのキャラクターの内面をちゃんと掘り下げてくれていれば、構わないのだけれど、薄っぺらいものが多くて辟易する。

この作品もそうだった。安易に、そういう設定を使うのはいかがなものか。

軽い文体で読みやすく、気楽に読める作品なので読み捨て感覚で読むのであれば十分面白いと思ったが、心に残る作品ではなかった。

このジャンルの読み物はあまり読んでいないので、なんとも言い難いのだけれど、ミステリーファンも面白い作品を探すのは大変なんだろうなぁ…なんてことを漠然と感じた1冊だった。

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