世の中には大人になっても1人で電車に乗って遠出したり、1人でお店に入って食事を楽しむことが出来ない人がいる。
実のところ彼らも本気を出せば出来なくもないのだろうけれど「1人で行くのは嫌だ」「1人で食事をするくらいならコンビニで何か買って食べる」思っているようだ。そして、それは圧倒的に女性が多い。
私の身近にいる人の中にも「1人は嫌だ」と言う女性が沢山いる。
義母は1人で飲食店に入る事が出来ないし、もしかすると長い人生で1度たりとも1人で飲食店に入った事が無いかもしれない。
ご近所づきあいをしている主婦仲間の場合は「1人でも行く派」と「1人じゃ無理派」に分かれる。ただ私の世代になると「出来れば1人は嫌だけどやむを得ない事情があれば頑張る」くらいの事は出来るかな…と言う感じ。
私は1人でも平気派に属する人間だけど、よくよく考えてみると最初から1人で何でも出来た訳ではないように思う
。子どもの頃、実家はどちらかと言うと厳しい家だったので、特に「女が1人で飲食店に入る」のは良しとされなかった。それなのにいつ頃から1人で行動出来るようになったのかと記憶を遡ってみたのだけれど「コレだ!」と言う明確なポイントがある事に気がついた。
1人での外出や1人での飲食は宝塚歌劇から教わった。
私が初めて宝塚歌劇を観たのは高校生の時だったと記憶している。高校時代の友人が「招待券が1枚余ってるから一緒に行かない?」と誘ってくれた。
私は幼少期からテレビで宝塚歌劇を観るのが大好きだったので渡りに船…ではあったのだけど、問題は口うるさい両親がOKを出してくれるかどうか…って事だった。大
阪から宝塚は遠い。しかも昼食込みでの観劇になる。果たして両親は許してくれるのか…ドキドキしながら聞いてみたことろ「宝塚ならいいよ」と拍子抜けするほどアッサリOKが出たのだ。
昭和時代の昔の感覚で言うなら「若い娘が繁華街をウロウロするのは好ましくないけど、女性ばかりの宝塚歌劇なら許す」って感じだったのだと思う。江戸時代の大奥での外出が「寺参りだけはOK」みたいな感じだろうか。
初めて行った宝塚大劇場は右を見ても左を見ても女性ばかり。
男性の姿もチラホラ見えるものの、男性は圧倒的少数派。まさに女の花園! なるほど、これなら煩い両親も納得してくれる訳だと感心した。
宝塚を好きになれるかどうかは個人差があると思うのだけど、そもそも私はテレビで観て「好きだ」と自覚していたので、初めての観劇は楽しかったし「また観たい」となったのは当然の流れだった。
宝塚にハマる人達の多くはそうだと思うのだけど「最初は友達と誘い合って行ってたけど、なかなか予定が合わなかったもするし、どうしても観たい作品は1人でも行く」みたいな流れが出来る。
実際、宝塚大劇場は1人で行動している女性は少なくない。
これは「若くて行動力があるから」なんて話ではなく、老いも若きもお1人様上等。1人で行っても寂しくないし、レストランに入っても1人で食事をしている人なんて珍しくもなんともない。
たぶん、これって宝塚歌劇に限ったことではなくて、ライブとか芝居に行く人は「1人でも行く派」が圧倒的に多いと思う。私の場合、宝塚歌劇がキッカケだった…ってだけの話だ。
先日、近所の主婦仲間に娘がスキーキャンプに行っているのを利用して1人で宝塚に行った話をしたら「1人でそんなところに行くの!」と仰天されてしまった。
「いやいや…宝塚歌劇はお1人様上等の世界ですよ」と言いたかったのだけど、なんだか説明するが面倒だったので「私は1人でも平気派だからね~」と話を終えた。
でも内心では「一緒に宝塚行ってみる? もしかしたら1人で行動できるようになるかもよ」と言いたい気持ちで一杯だった。
そりゃそうと。機会があればまた宝塚歌劇を観に行きたいものだ。
私は宝塚歌劇でもショーの付いているタイプの公演より、ミュージカル1本の方が好きなのだけど、ミュージカルだけの公演はそうしょっちゅう無いのが残念。
だけど「これぞ」と思える公演の時は都合を付けて観に行きたいな…と思う。
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