私と夫は結婚してからずっと、よしながふみ『きのう何食べた?』と言う漫画を読んている。
『きのう何食べた?』はゲイカップルが主人公の料理漫画。
たまたまではあるけれど、主人公カップルとは年齢が近く、さらに言うなら主人公カップルと私達夫婦の「付き合ってきた年数」もほぼ同じと言うことから、親近感のある漫画として最新刊が出るたびに楽しみに読んでいる。
先日、最新刊(13巻)が発売されたので早速読んでみた。
主人公カップルはこの巻でそれぞれ53歳、50歳の誕生日を迎えた。
私達夫婦は夫が47歳、私が45歳で彼らよりも少し年下だけど、直面する問題は同じなので、この漫画には毎度身につまされるものがある。親の介護だの病気だの。自分自身の老いと健康問題。
今回は「ついに不慮の死ではない自分の友達の訃報がきてしまった」と言うエピソードがあった。
「妻子を残して逝くなんて気の毒に」と主人公は涙するのだけど、友人はすでに孫がいて「孫の顔も見せる事が出来たし、最後に家族で旅行も出来たし思い残す事はありません」と、想像していた以上に悲壮感の無い葬儀に驚く…って話。
これ、ちょっと分かる気がする。
私は結婚が遅かったのでこの年齢でまだ子育て現役だけど、若くして結婚、出産をした人だと孫がいて人生の終盤突入しちゃってるのだ。同世代の人の訃報がショック…ってのも共感出来るし「よくよく考えてみたら人生も終盤に入ってるよね」って事実に驚かされる。
主人公がパートナーを看取る覚悟が出来ている…って話も印象的だった。実は私も主人公と同じく夫を看取る気満々でいる。
若い頃、私は「後に残される」って言うことがとても怖くて「友達が先に死ぬのとか耐えられない。どうせなら私が1番に死にたい」と本気で思っていて、結婚した頃は「私より先に死なないで」なんて可愛いげのある事を言っていた。
しかし娘が生まれたり、私自身が親の面倒をみるようになってからは「娘には出来るだけ迷惑かけたくないけれど全く迷惑かけずに死ぬのは無理なんだよなぁ。娘からしたら面倒臭いおじいさんが生き残るより、面倒臭いおばあさんの世話する方がマシだろうから私が長生きするしかないな」と言う気持ちになっている。
男性には申し訳ないと思うけれど、男性より女性の方がコミュニケーション能力と家事能力が高いので、年老いた夫婦のどちらかが生き残るなら、女性の方が何かと便利だと思うのだ。
あと、家族じゃないけど友人の中ではFよりも長生きするつもり。持病持ちで独身のFを残して死ぬとか嫌過ぎる。
実母と義母を見送るのは当然として、夫とFを見送るまでは絶対に死ねない。
『きのう何食べた?』は料理漫画なので「この料理、美味しそう。うちでも作ってみよう」と思って読むのが正しい読み方だと思うだけど、なまじっか主人公と年が近い分だけ色々な事を考えさせられてしまう。
主人公カップルは現在50代。サザエさん時空ではなく、年を取っていくタイプの漫画なのでどこまで続くのかは分からないけれど、最後まで楽しみに読みたいな…と思う。
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