『二人キリ』は阿部サダ事件で有名な阿部サダをテーマにした作品。ただしこれはノンフィクションではなく、あくまでも評伝小説。どこまでが史実でどこまでが創作なのかはよく分からない。あくまでも「小説」と言う認識で挑んだ。
阿部サダと言うと恋人を殺害して切断した性器を持ち去った人って認識。悪女のイメージが強いのだけど、実のところ詳しいことはよく知らないでいた。なので事件の後も長く生きていたことは知らなかったし、晩年については失踪していて生没年不明となっていことなどは『二人キリ』を読んだ後に知った。
二人キリ
- 少年時代に昭和の猟奇殺人「阿部定事件」に遭遇した脚本家・吉弥は、長年定の関係者を探し証言を集めていた。
- 定の幼なじみや初めての男、遊郭に売った女衒、学校長、被害者の妻らの多様な証言が交錯し、その人生と事件の背景が少しずつ浮かび上がってくる。
- 三十数年後、小料理屋の女将となっていた阿部定自身の証言も加わり、単なる猟奇事件の断片が1本の線へと繋がっていく……
感想
阿部サダと言うと私の中では「悪女」のイメージが強い。悪女…と言っても犯罪者と言うより「本能のままに生きる女性。まっとうに生きられない女性」って認識。小説を読むことでイメージが変わるかも知れない…なんて言う期待を込めて手に取った結果…イメージは全く変わらなかった。残念である。
阿部サダって人が恋人を殺してしまうくらい恋人を愛した女性…って感じで描くのは、阿部サダをテーマにした小説や映画でありがちな話。まぁ、それは良いとして。『二人キリ』は阿部サダの生い立ちから晩年まで丁寧に描いているのだけど、彼女の言い分はあまりにも身勝手で個人的に「それって…人としてクズなだけのでは?」としか思えなかった。
凄い…と言えば凄かった。汚い言い方をするけれど「男がいないと生きていけない人の典型例」って感じで。創作である小説を読むことで彼女の気持ちに寄り添うことが出来たらいいな…と思って読んだものの、寄り添うどころか「やっぱり、こういう人ってどうしようもないな」と言う気持ちにしかなれなかった。
恋をするのは仕方がない。だけど恋をするのと自分の欲望を貫くために人を裏切ったり騙したり、周囲に迷惑をかけたりするのは違う。
『二人キリ』はテンポも良いし飽きずに読み進めることが出来たものの、どこにも共感出来なかったが残念だった。恋愛偏差値の低い人間が読むには難易度が高かったのかも知れない。刺さる人には刺さると思うものの、私には響かない作品だった。


